マニラ首都圏鉄道で日本が信頼される理由 アジア最悪の渋滞は解消されるのか

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マニラLRT2号線の日本製車両に乗り込む乗客(筆者撮影)

フィリピンのマニラ首都圏は“アジア最悪”ともいわれる交通渋滞に悩んでいる。長らく、その解消が課題になっていたが、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領の下で、ようやく実効性の高い計画が動き始めた。

その計画を一言でいうならば、「新たな都市鉄道によって慢性的な交通渋滞を緩和する」というもの。そして、そこでは日本の経済協力と鉄道技術が活躍することになりそうだ。

フィリピン初の地下鉄計画が動き出した

マニラの都市鉄道をめぐっては、このところ中国・韓国勢が立て続けにトラブルを起こしたため、日本への信頼が改めて高まっている。

フィリピンのアーサー・トゥガデ運輸通信相は4月18日、同国初の地下鉄となる「メガマニラ・サブウェイ」(マニラ首都圏地下鉄)計画について、安倍晋三首相が今年11月に訪比する際、ドゥテルテ大統領との間で円借款契約を締結すると発表した。首都圏ケソン~タギッグ両市を結ぶ約25キロメートル(13~15駅)を建設する計画で、事業総額2270億ペソ(約5221億円)。2020年に着工、2024年の完工を目指し、2025年開業後は1日約35万人の利用客を見込む。

マニラ地下鉄計画は、国際協力機構(JICA)が2016年から事前調査を進めており、今年9月までに最終報告がまとまる。そのキーワードといえるのが「STEP」だ。

STEPとは、「本邦技術活用条件」のこと。開発途上国のインフラ整備などに低利・長期で資金を貸し付ける円借款の条件として、日本の技術やノウハウを活用すること(つまり日本企業が受注すること)を求めている制度だ。

マニラ地下鉄をSTEP案件として実施する場合、トンネルのシールド工法を得意とする大成建設、清水建設などのゼネコンに加え、定時・安全運行を誇る東京メトロなど鉄道事業者の参入が見込まれる。そうなれば、注目度が高い大規模プロジェクトが官民挙げた“オールジャパン”で実現することになる。

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