加計「一転再調査」から始まる安倍政権の危機 政権運営には身内からも批判の声が出ている

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学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、文部科学省内でやりとりされたメールの写しとされる文書。民進党が6月2日に公表した(画像の一部を加工、写真:時事)

加計学園が愛媛県今治市に2018年4月に開校を予定している獣医学部問題で、文部科学省から出たとされる8枚の「総理のご意向メモ」をめぐり、松野博一文科相は6月9日の閣議後会見で、追加調査を行うことを表明した。

理由は世論の動向だ。たとえば6月2日と3日に行われたJNNの世論調査によると、加計学園問題について「政府側の説明に納得できるのか」に72%が否定。また「前川喜平前事務次官の説明を信じる」が58%だったのに対し、「政府の説明を信じる」が19%と低かった。

ダイレクトに響いたのは、6月23日に告示・7月2日に投開票の東京都都議会選挙だ。すでに自民党は小池百合子都知事が率いる都民ファーストの会とのバトルを開始した。

都議会選挙では他党からの攻撃の材料に

都民ファーストの会も情報公開と公文書管理を公約に掲げ、森友学園問題や加計学園問題で安倍政権の対応のまずさを皮肉る戦術を採用。街宣に立つ小池都知事を筆頭に、自民党に容赦ない攻撃をしかけている。

加えて連立を組む公明党からも批判の声が届いている。漆原良夫中央幹事会会長は6月8日の記者会見で、「なぜ怪文書みたいなのか、なぜ再調査しないでいいのか。官房長官の口から国民にわかるように説明してもらうのが望ましい」と述べたからだ。

都議選では都民ファーストと組む公明党だが、その立ち位置は微妙。選挙では都民ファーストに票を食われるかもしれず、また国政で自民党と連立を組んでいる影響も侮れない。とりわけショックだったのは5月の中旬に行われたある世論調査だろう。これによれば公明党の予想獲得議席数は18で、5議席も落とすことになっていた。

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