海外投資家が日本の「小型株」を狙う理由 面白味のない相場だが、日本株はまだ割安

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一方、米国では、注目されていたジェームズ・コミー前FBI(米連邦捜査局)長官の証言が上院で行なわれた。事前に文章で証言が提出されていたが、内容はトランプ政権の捜査への干渉を示したものだったと言えよう。

それでも、今では「ドナルド・トランプ大統領への期待」は崩壊して見る影もなく、証言前から、大統領が「ロシアゲート」の捜査にくちばしを挟んだと考えていた向きがほとんどであったため、やはり市場には深刻な影響は生じなかった。

このように、英国でも米国でも、政治情勢の実態は、決して良好とは言えない。ただ、英国でブレクジットがハードになるのかソフトになるのかは、これからのEU側との交渉を経ないと、具体的にはわからない。

米国の「ロシアゲート」も、特別検察官の捜査を待つ状況で、捜査は今年内には終わらないかもしれない、という観測も有力だ。すなわち、今すぐ弾劾だ、という状況でもない。このように、最終的な着地点をみるまでには時間がかかるため、市場は、「とりあえずイベントが終わった」、「その先のことは後で考えよう」、という状況で、政治実態がどうだこうだということではなく、イベントが終わったことそのものによる安堵感が広がっているのではないだろうか。

6・7月は国内外とも大きな材料が乏しい

当面の日本株を取り巻く環境をみると、大きな材料が乏しい。13日(火)~14日(水)の米FOMC(米連邦公開市場委員会)では、今回は多くの予想通り利上げが実施され、その先はやはり多くの予想通り、さらなる利上げには慎重な姿勢が示される(そのため、早くとも12月以降の利上げとなる)だろう。

こうした米連銀の姿勢は、ずっと利上げや量的緩和の縮小を行なわず、後になってから急速な緩和からの脱却になって、経済や市場に混乱を与えることは避けよう、といったものだ。そのため、早めに利上げを実施するが、その後は小幅にゆっくりと、出口へ向けての歩を進めて行こう、というソフトな路線だ。連銀のこうした「優しい姿勢」を踏まえると、米国株式にも米ドル相場にも、波乱は見込みにくい。

一方、国内政治面では、7月2日(日)に東京都議会選挙を控えている。ただ、一時の小池ブームも、豊洲への市場移転問題がこう着するなか、失速気味だ。「都民ファーストの会」が多くの議席を取る可能性は十分あるが、それが一気に中央政局に波及する、とまでは見込みにくいだろう。

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