ワインの歴史変えた「1976パリスの審判」とは 仏VS米国、ワインがおいしいのはどっちだ?

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選ばれた9人は、41年前のイベントになぞらえた「お祭り」とはいえ、皆真剣そのものだった。

もちろんブラインド・テイスティングなので、試飲する順番は完全にランダム。あとからわかったことだが、最初に出されたのは1970年の「Ch.Mouton Rothschild」(シャトー・ムートン・ロートシルト、仏)。最後の10番目は「1972 Clos du Val」(クロ・デュ・ヴァル、米)だった。

「3度目の審判」も、カリフォルニアが勝った

「東京での審判」にはレジェンドも登場。1976年に優勝したワイナリー「スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ」の創設者ウォーレン・ウィニアルスキー氏(89)が当時を語った。「パリスの審判」in Tokyoの模様はBS11で6月10日(土)21時から放映予定

さて、結果はどうだったのか。第2部のパーティーで主催者側から結果が発表された。もちろん、あくまで参考記録とはいえ、ここまで来ると、やはり?というべきなのだろうか。

今回の東京で1位を獲得したのは、カリフォルニア産の「1969 Freemark Abbey」(フリーマーク・アビー)。獲得点数は153.5点。2位もカリフォルニア産の「1971 Mayacamas」(マヤカマス)だった。「最下位」は「1971Ch.Leoville Las Cases」(シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ、仏)で、119点だった。

実は1位のフリーマーク・アビーは1976年の「パリスの審判」では78点しか獲得できず、最下位だったワイン。とはいえ、同ワイナリーは1976年の審判では赤白両方ともテイスティングされた唯一のワイナリーとして有名だ。実は、審判をきっかけに1970年代以降隆盛を誇った同ワイナリーも、無理な生産量拡大が災いし、いったんは忘れられた存在になりかけたという。だがオーナーチェンジによって、この10年で名門復活とあいなったのだという。カリフォルニアワインにも、栄枯盛衰がある。

主催者などによれば、「パリスの審判」の意義は、以下の3つに集約されるという。すなわち、カリフォルニアのナパ産などを筆頭に、チリやアルゼンチン、南アフリカなどのワインが普及したこと②フランスが「驕り」に気づき、再び切磋琢磨するようになった③ブラインド・テイスティングによって先入観に左右されずワインの本質を感じるようになった、ということだ。

近年、急速に評価が高まっている日本のワインも、どんどんこうしたイベントを行って、さらにブランド力をつけていってほしいものだ。

福井 純 東洋経済 記者

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ふくい じゅん / Jun Fukui

「会社四季報オンライン」編集部長。『週刊東洋経済』編集部、『会社四季報プロ500』『株式ウイークリー』『オール投資』編集長、「東洋経済オンライン」編集部長、証券部長を経て現職。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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