「パリ協定脱退」で米国経済が後退するワケ

有望産業の成長を邪魔しかねない

パリ協定脱退を宣言したトランプ大統領(写真:Joshua Roberts/ロイター)

トランプ米大統領が気候変動への国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱を宣言した。米国と世界に深刻な打撃を与える歴史的な過ちである。

トランプ氏は米国に有利となるよう再交渉を主張している。だが、パリ協定は各国の指導者が高く評価してきたものだ。画期的な気候変動対策として、国際協調の勝利の証しとして、さらには世界経済にプラスになるものとして。

トランプ氏は自身の決断の意味を理解していないだけかもしれない。だが同氏の政策顧問は、パリ協定離脱によって何が犠牲になるのか、よく理解しているはずだ。

成長産業の雇用拡大を阻む

米大統領選挙でトランプ氏は、雇用を生み出し、グローバリズムの破滅的影響から米国の労働者を守ると公約した。そして、パリ協定についての決断を告げるツイートを例の言葉で締めくくった。「アメリカを再び偉大にしよう!」。

トランプ氏の決断は、米国を偉大にするどころか、圧倒的多数の米国人の願望に逆行する。パリ協定に背を向けることで、米国人が気候変動の破滅的な被害を受ける可能性を高めているのだ。

さらに言えば、トランプ氏が行っているのは、再生可能エネルギーや電気自動車といった成長産業が生み出している雇用の削減だ。まさに同氏が保護すると吹聴してきた雇用そのものである。

トランプ氏は米国の国家的地位も低下させた。世界のリーダーであることの責任を放棄したのだ。

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