ラコステ「ポロシャツ」が父の日に売れる理由 高品質の秘密は秋田県横手市にあった!

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ディーター・ハーベル社長は日本コカ・コーラやギャップ ジャパン、アディダスジャパン、リーボックジャパン社長などを経て2013年7月にラコステ ジャパンの社長に就任した。「入社時、国内に自社工場を持って生産しているのは珍しいと感じた。秋田の工場のクオリティは世界で一番高い」と胸を張る(記者撮影)

その後も絶えずミシンの改良を重ね、ポロの縫製専用の特注機械も導入するなど、縫製技術を磨いてきた。現在も新しい仕様や技術の研究開発を進め、コストダウンにも取り組む。採用難の中でも新人を積極的に採用し、ラコステならではの品質基準を若い世代に伝える努力も欠かさない。

品質を磨き上げてきた結果、顧客からのクレームも販売数の0.02%(2015年実績)に押さえている。これは通常のアパレル企業と比較しても低い水準だという。「品質はどこにも負けない自信がある」。柴田工場長は誇らしげに話す。

品質こそが、父の日ギフトに選ばれる理由

競合他社では、コスト削減のために安い労働力を求め、安易に中国や東南アジアで製品を生産するケースも多い。それでもなお、ラコステ ジャパンはコストの高い日本製にこだわった。

ハーベル社長はこう強調する。「コスト管理も重要だが、顧客に保証できるクオリティがいちばん重要だ。日本の消費者は非常に厳しい。数多くの選択肢がある中で顧客に選ばれるためには、つねに付加価値を提供していかなければならない」。

こうした品質へのこだわりこそが「洗濯機で洗っても型崩れ、色落ちしにくい」「丈夫で長く使える」といった消費者の高い評価につながり、父の日のプレゼントの定番商品になったのだ。

最近では父の日需要だけでなく、女性向けにトレンドを取り入れた、ゆるやかなシルエットが特徴のポロや、前述のカスタムポロの展開も拡大している。定番商品にとどまらない商品戦略も、ラコステのポロが日本で選ばれ続けるカギとなりそうだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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