ラコステ「ポロシャツ」が父の日に売れる理由 高品質の秘密は秋田県横手市にあった!

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なぜ、ラコステのポロは日本で根強い人気を誇るのか。そこにはものづくりに対する徹底したこだわりがある。実は、日本で販売されるラコステの定番ポロはすべて同じ工場で作られたものだ。

秋田の工場では日本人の職人が縫製を担っている。若い縫製工の確保が課題で、新人を採用して育てることに注力している(写真:ラコステ ジャパン)

秋田県横手市。ここに1989年に設立されたヴァルモードという縫製工場がある。ラコステ ジャパンが9割を出資する子会社でポロシャツ製造を一手に引き受ける会社だ。従業員は75名でうち65人が女性。すべて地元出身の職人だ。

ラコステは現在、フランスだけでなくチュニジアやモロッコ、中国などで生産しているが、他社の商品も受注する工場が大半を占める。ラコステの製品に専念しているのはヴァルモードだけだという。自社工場のため、販売のトレンドをみながら生産量を柔軟に調整できるのが強みだ。

工場長の柴田善己氏は現在の生産状況を説明する。「春夏向け商品として生産する35万枚中、7割をポロシャツが占めている」。まさにポロシャツのプロフェッショナル集団といえる。

ポロシャツには日本独自の工夫も

設立当時、初代工場長の寺田正行氏はフランス・パリ近郊のトロワの工場に2カ月以上泊まり込みで研修に出向いたという。現地の製造ノウハウを吸収し、秋田で工場を立ち上げたのだ。

ラコステのワニのエンブレムの縫い付けは非常に重要な作業。専用のミシンを導入している(写真:ラコステ ジャパン)

ポロシャツ作りで重要なポイントは、襟と前立て(シャツの前ボタン部分の仕様)の作り込み。たとえば、ボタンをはずしてもシャツの胸元がだらりと垂れないようにするといったことだ。こうした基本的な品質を重視するとともに、日本独自の工夫も加えている。

たとえば、トロワの工場ではワニのエンブレムは1本の針を使う「本縫いミシン」で縫われていた。だが、生地を手で動かさなければならず、手間がかかる作業だった。寺田工場長はこれを効率化すべく、現在もミシンを製造するブラザー工業と協力し、エンブレムを自動で縫えるミシンを開発、効率化につなげたのだった。

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