相手にOKと言わせるのがうまい人の「頭の中」 できる人は「4つのステージ」を攻略している

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このように相手に何かを勧めて受け入れてもらうには、相手が今、どの状態にいるのかを知る必要があります。そのために知っておくと役立つのが「4つの不のステージ」です。これは新しいものや提案を受け入れるときに、相手がたどる状態の変化だと思ってください。

「4つの不のステージ」を乗り越える

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まず1つ目のステージは、こちらが勧める商品や提案の内容を知らない、もしくは必要性を感じていない「不信・不適」ステージです。先程のカメラの例でいくと、スマホで十分と思っている方はこのステージです。

2つ目のステージは、確かに必要な気もするけど、ほかにもっと欲しいものがある、もしくは、それ程自分にとって緊急に必要だとは思わない「不要・不急」ステージです。このステージにある人には、今買うことでどんないいことがあるのか、もしくは今買わないとどんな機会ロスになるのかということを説明して、「確かに今必要かも……」という状態になってもらえばステージクリアということになります。

緊急性を理解されたあとの3つ目のステージは「確かに欲しいけど高い」または「今あるものでも代用できるのでは?」という経済性を問われる「不経済」というステージです。

カメラの例で「欲しいな〜」というところまできても「でも先立つものが……」となるような場合がこのステージです。ここでは他製品との比較や、下取りに出せば追加費用はあまりかからないといった情報を出したり、今あるものを使い続けた場合の機会ロスなどを話して変化を起こしてもらってもよいでしょう。

最後のステージは、必要性・緊急性を理解し、手に入れようと決めた後に、さまざまな選択肢がある中で本当にこれに決めて間違いないのかという「不安」を払拭するステージです。他製品との比較や他店との比較、追加サービスなど、やはりこの相手に頼んで大丈夫そうだという確信を持ってもらうための情報を出して、「安心」状態への変化を起こしていきます。

この4つのステージをクリアするために、ごり押しするのは得策ではありません。人は説得されてしぶしぶ決めたとは思いたくないからです。自分で決めたと思ってもらえるように自然な変化を起こせるかどうかを考えてみましょう。

自然な変化を起こすには相手の気持ちをきちんと把握しなくてはできません。本当に相手のためにこれは必要なのか、どうしたら安心してもらえるのかを徹底して考えればおのずとシナリオができ上がってきます。どんな相手でも同じ説明ではなく、相手に向き合うつもりでシナリオを考えてみてくださいね。

清水 久三子 アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント

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しみず くみこ / Kumiko Shimizu

アンド・クリエイト代表取締役社長・人材育成コンサルタント
大手アパレル企業を経て1998年にプライスウォーターハウスコンサルタント(現IBM)入社。企業変革戦略コンサルティングチームのリーダーとして新規事業戦略立案・展開プロジェクトをリード。「人が変わらなければ変革は成し遂げられない」との思いから専門領域を人材育成分野に移し人事・人材育成の戦略策定・制度設計・導入支援などのプロジェクトをリード。コンサルティングサービス&SI事業の人材開発部門リーダーとして5000人のコンサルタント・SEを対象とした人材ビジョン策定、育成プログラム企画・開発・展開を担いベストプラクティスとして多くのメディアに取り上げられた

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