意外と知らないライターという仕事の「裏側」 仕事の中身と収入はこうなっている

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圧倒的に多いのは“脇役”“黒子”です(筆者もそうです)。つまりライターは、主題(取材対象や記事のテーマ)にスポットを当て、“やさしく、深く、面白い”文章で、読者に情報を伝える存在といえるでしょう。

では具体的にどんな仕事をしているのか。筆者は普段、ビジネス系とノンフィクションを中心に執筆しています。けれど駆け出しの頃は、仕事を選ぶ余裕などなかったため、どんな案件でも受けていました。

変わった仕事の1つに、裁判用資料の作成があります。A社というイベント会社が、Bというプロデューサーから依頼を受け、音楽フェスの運営全般を行いました。しかし集客がうまくいかず、赤字になったことから、Bは総額1500万円ほどの支払いを拒否。A社は裁判を起こすことにしました。それに際して、筆者はA社の社長や社員、関係者たちにインタビューし、Bがいかに理不尽であるかを文章にしたのです。

恋愛マニュアルも書いたことがあります。いかがわしいサイトを巡っていると、よく見掛ける「ナンパ必勝法」「人妻を落とす法則」といったたぐいのネット記事です。ちなみに筆者は恋愛経験が少なく、女性と1年以上付き合えた経験すらありません。だから、内容はほぼ想像で書いたのですが、アクセス数は相当に伸びたというからわからないものです。

かけがえのない財産となる経験も

一方で、貴重な経験も数多くさせていただきました。たとえばプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスの創業ストーリー。2004年、プロ野球再編問題が連日ニュースをにぎわわせていたことを、記憶している方はたくさんいるでしょう。約10年の時を経て、筆者は球団の創業メンバーたちにインタビューし、さらにはKスタ宮城(現・楽天Koboスタジアム宮城)で現地取材もして、ルポルタージュを執筆しました。日本のスポーツ史に歴史を刻んだ出来事の1つに、ライターとしてかかわらせていただいたことは、かけがえのない財産です。

ソフトバンク社のPepper君の、開発責任者にインタビューさせていただいたこともあります。まだ発売前で、関係者しか目にすることができないPepper君を前に、どんな機能・仕組みなのか、何ができるのか、孫正義社長とどんなやり取りがあったのかなど、貴重なお話の数々を伺うことができました。筆者は人工知能にとても興味があり、時が過ぎるのを忘れて取材をしたものです。

大ファンである故・忌野清志郎さんに、間接的ながらかかわれたこともあります。忌野さんが2010年から開催していたコンサート「ナニワ・サリバン・ショー」が映画化されることになり、告知記事を書くため、出演者である山崎まさよしさんにインタビューをさせていただいたのです。忌野さんとのエピソードをたくさん伺い、思いを込めて書いた記事が公開されたときは、涙が込み上げてきたのを覚えています。

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