日経平均は反落、日銀出口論巡る報道で軟化 一時は2万円台回復も、1週間ぶりの安値水準 

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 6月8日、東京株式市場で日経平均は反落した。前日の米国株高などを支えに序盤は買いが優勢となり、2万円の大台を回復して寄り付いたが、海外の重要イベントを前に積極的に上値を追う姿勢は限定的だった。写真は都内で2015年12月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 8日 ロイター] -

東京株式市場で日経平均は反落した。前日の米国株高などを支えに序盤は買いが優勢となり、2万円の大台を回復して寄り付いたが、海外の重要イベントを前に積極的に上値を追う姿勢は限定的だった。後場に日銀の出口論をめぐる一部報道を受け、ドル安/円高が進行すると日本株も軟化。日経平均の終値は1週ぶりの安値となった。

TOPIXも反落。国内長期金利の上昇を嫌気し、業種別では不動産が下落率でトップとなった。半面、上昇率トップは水産・農林で、保険、銀行がこれに続いた。

8日のコミー前米連邦捜査局(FBI)長官の上院特別情報委員会での証言内容が事前に明らかとなった点は、投資家の不安心理を和らげる要因となった。だが、寄り付き前に発表された国内の1─3月期実質GDP(国内総生産)2次速報は下方改定となり、日本株の上値を圧迫する材料となった。

また韓国軍によれば、北朝鮮が8日午前に同国東部から地対艦ミサイルとみられる飛しょう体を数発発射したが、市場への反応は限定的だった。

英総選挙や欧州中央銀行(ECB)理事会を控え、全体相場は次第に様子見ムードが広がった。後場寄り後は小動きとなる中、日銀が異次元緩和の出口を巡る議論について、「時期尚早」としていた姿勢を改め、市場との対話を重視する方向に修正しつつあるとブルームバーグが報道。「目新しい内容ではないが、株安・円高のきっかけとなった」(国内証券)という。

内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏は「日経平均が2万円から上を目指すにはトランプ米大統領の政策期待の回復が必要」と指摘。また「6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが決定しても直近の米経済指標には弱い内容のものもある。年末まで利上げがないとの見方が強まった場合のドル売りの流れが警戒される」と話す。

個別銘柄では小野測器<6858.T>が急反発。7日に自己株消却を発表した。再放出による潜在的な需給悪化懸念が後退したとの受け止めから買いが入った。半面、ジャパンディスプレイ(JDI)<6740.T>が軟調。7日、有機ELディスプレーの開発会社、JOLED(ジェイオーレッド、東京都千代田区)の子会社化を延期すると発表した。有機EL分野への出遅れを懸念する売りが出た。

東証1部騰落数は、値上がり698銘柄に対し、値下がりが1198銘柄、変わらずが121銘柄だった。

日経平均<.N225>

終値      19909.26 -75.36

寄り付き    20048.28

安値/高値   19896.35─20061.22

 

TOPIX<.TOPX>

終値       1590.41 -6.68

寄り付き     1602.53

安値/高値    1589.51─1603.08

 

東証出来高(万株) 198375

東証売買代金(億円) 25299.37

 

(長田善行)

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