意外と知らない「名言」を深く知る簡単なコツ 福沢諭吉、ガンジー、ゲーテ、澁澤栄一…

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たとえば、ロシアの小説家・ドストエフスキーの名言。

「人間は幸福であることを知らないから、不幸なのである」

すぐに意味は、わかりましたか? 「えっ、何!?」となりませんか?

でも、これを子どもにもわかるように意訳すれば……

「平凡な毎日が幸せだと思わなければ、不幸しか感じなくなっちゃうんだよね」

この名言が言いたかったことは、結局こういうことなのです。この意訳を、私は「子ども超訳」と名付けています。子どもに語りかけるような超訳だから「子ども超訳」なのです。

なお、「超訳」とは「原文の一語一語にとらわれず、全体の意味やニュアンスをくみ取って翻訳すること」という意味で使っています。

名言誕生の「エピソード」で、理解がいっそう深まる

もう1つ疑問に思っていたのは、どんなシチュエーションで、どんな気持ちでその名言が発せられたのかがわからないから、名言の根底に流れる意味まで把握できないということ。だとしたら、名言誕生のエピソードも一緒に知ればいいだけです。

たとえば、先ほどのドストエフスキーの名言「人間は幸福であることを知らないから、不幸なのである」ですと、次のようになります。

「ドストエフスキーは28歳の時、国の政治を批判したことで、無実の罪で逮捕されます。そして、一度は死刑まで宣告されてしまうのですが、結局は4年のシベリア流刑で済みました。彼はそのつらい経験から、普通に生きられることが、いかに大事で幸せであるのかをかみしめます。そして誕生したのが、この名言だったのです」

「子ども超訳」と「エピソード」のセットは、どの名言でもできます。同じように、ほかの名言も「子ども超訳」と名言誕生の「エピソード」のセットをいくつかご紹介しましょう。

マハトマ・ガンジー(インドの政治家)の名言

●元の名言

「自分が行動したすべてのことはつまらないことかもしれない。だが、行動したというそれ自体が重要なのである」

★これを「子ども超訳」にすると……、

「やってみたけどうまくいかないことなんて、いっぱいあるよね。でも、やってみたっていうそのことがいちばん大事なんだよ」

♥名言誕生のエピソード

ガンジーはインド人であるという理由だけで、南アフリカで差別を受けていました。ある日、一等客席の切符を買ってその客席に座ったら、車掌に殴られてしまいます。

しかしガンジーは、「自分にも座る権利があること」を主張し、決してそこから動こうとはしなかったそうです。正しいと信じたことなら、暴力にも屈しない……、その行動力から生まれた名言なのです。

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