梅雨の「なんとなく不調」を取り除く方法 濃いコーヒーや鶏肉がなぜ効くのか?

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最近の研究で、鶏の胸肉には「イミダペプチド」といわれる疲労回復物質が含まれていることがわかりました。イミダペプチド100mgを2週間摂取しつづけると、体の疲労をリセットすることができます。イミダペプチドを多く含む食品を3つ挙げておきましょう。すべて100g中の値です。

・鶏の胸肉 1223mg
・豚ロース 928mg
・カツオ 811mg

夕飯は鶏の胸肉。睡眠の3時間前には食べ終える

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コンビニなどで見掛ける「サラダチキン」は鶏の胸肉でおおよそ100gほどありますから、これを1つ食べると1223mgものイミダペプチドを摂取することができます。「豚ロース生姜焼き」もコンビニの常備メニューです。こちらも100g前後のパッケージが多いようですから、100mgは意外に簡単に摂取することができますね。梅雨の時期は意識して、これらの食材を使った料理やお総菜を探してみましょう。

また、食事は睡眠の3時間前には終わらせると、翌日の朝のだるさが違ってきます。実は「お腹いっぱい」の状態で眠りにつくと、睡眠の質が落ちて疲れが取れないのです。それはなぜなのでしょうか?

私たちの脳は、大きく3つに分かれています。

いちばん内側にあるのが「脳幹」といわれる脳です。これは生命を維持するための脳で、爬虫(はちゅう)類にも備わっている原始的な脳です。親指ほどの大きさしかなく、私たちの鼻の裏側あたりにあります。脳幹「自律神経」「ホルモン」「免疫」「筋肉」など、体の維持を担当します。また、私たちの内臓も脳幹が動かしています。

夜寝ている意識のない間にも、心臓が全身に血液を送り出し、呼吸を維持してくれているのは、つねにこの脳幹が命令を出しているからです。そして、胃に食べ物が入っていれば、脳幹は消化のために活動をしなければなりません。睡眠中の仕事が1つ増えてしまう、というわけです。お腹がいっぱいの状態だと眠りが浅くなるのは、脳幹がフル稼働しているから。消化のために脳は休むことができないのです。

特に、高タンパクや高脂質を消化するには、時間がかかります。疲れを取るために、焼き肉やウナギ、ニンニクなどを好んで食べる人がいますが、これらの食材は消化に時間がかかり、脳と体を余計に疲れさせてしまいます。

寝る前に3時間空けることができれば、脳幹に余計な負担がかかることなく、脳はしっかりと休むことができます。それは脳幹がつかさどる内臓や自律神経を含めた体全体の疲れを取ることにもつながります。

毎日は難しいかもしれませんが、だるさを感じる雨の日にこそ、3時間前に夕食を終わらせるようにしてみましょう。

雨だから仕方ないと、不調をあきらめることはありません。正しい対処の仕方がわかれば、解決できるからです。1年のうち3分の1が雨の日本で、雨の日に憂鬱になっていては、一生の3分の1を不愉快な気分で過ごすことになってしまいます。

雨が多い日本だからこそ、雨を知り、それを生かしていけたらいいですね。実は雨にはプラスの側面が多々あります。雨を知り、雨を利用する。そんなふうに前向きに過ごせたら1年の3分の1の生き方が変わるのです。

(構成:黒坂真由子)

美野田 啓ニ BTU(バランスセラピーUniv.)代表

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みのだ けいじ / Keiji Minoda

ストレスケア・カウンセラーの教育機関であるBTU(バランスセラピーUniv.)代表。福岡を中心に東京などに25校を開校。現在、5000人を超える履修生が全国で活動中。身体からアプローチするカウンセリング手法は、教育、医療・福祉機関、公共団体、震災被災地、生保、損保、IT企業など多岐にわたる団体で導入されている。静岡県健康福祉部・浜松先端医療技術センターとの脳内動態の共同研究、東京大学大学院・東北大学大学院における少年院入院者のリラクセーション効果の研究など、国内各地の大学・研究所との共同研究にも積極的。日本行動医学会荒記記念賞受賞。日本認知・行動療法学会、日本心身医学会所属。 主な著作に、『脳が若返る歩き方』(KADOKAWA)、『脳の疲れをとるストレッチ』(扶桑社)などがある。

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