「ホンダらしさ」は自動運転でも体現できるか 2025年に一般道での自動運転実現を目指す

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追求するのは、運転のしやすさや乗り心地といった数値化が難しい”感覚的な品質”の向上だ。止まるときにブレーキがガクっとならないようにしたり、頻繁にブレーキを踏まなくてもコーナーを回れるように運転しやすく調整したりするほか、助手席や後部座席に座っている人が車酔いしにくい快適な乗り心地などを研究する。

技術者同士の会話を元に評価シートを作り、土台となる指標を練るところから取り組みは始まっている。その成果はホンダの全車種に活かされるという。

コモディティ化に対する強い危機感

背景には、電動化により車がコモディティ化することへの危機感がある。EVの普及が進めば、バッテリーやモーターなどの基幹部品が値下がりして調達しやすくなる。中国系など新興メーカーでも部品を組み合わせれば車が造れてしまう時代だからこそ、「今改めて感性価値の研究を始め、ホンダのコア技術として、電動化や自動運転の時代でも他社と差別化できる要素に育てる」(松本専務)という意思がある。

4輪R&Dセンターのある技術者は「効率化だけではない。ようやく車に向かいたいという気持ちが社内で高まってきている。(台数を追うあまりコストを優先しすぎた)伊東孝紳前社長時代からの変化を感じている」と語る。

絶えず変わりゆく自動車業界で生き残らなければならない――。そんなホンダの危機感が、今回の組織改革に表れている。

宮本 夏実 東洋経済 記者

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みやもと なつみ / Natsumi Miyamoto

自動車メーカー、部品会社を担当

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