「ホンダらしさ」は自動運転でも体現できるか 2025年に一般道での自動運転実現を目指す

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次世代技術の開発やより厳しい法規への対応が求められる中で、自動車メーカー各社の収益は膨らむ開発費に圧迫される。

とりわけホンダの場合、500万台強という販売規模がネックになる。SUBARUや欧州の高級車メーカーのように付加価値で高い収益性を目指すニッチな戦略も、独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車のような1000万台規模を活かした効率経営も、ホンダの規模では難しい。

収益性の低さを課題に挙げたホンダの八郷隆弘社長(記者撮影)

ホンダの2016年度の営業利益率は6%だった。トヨタの7.2%、スバルの12.4%などに比べて見劣りする。「自動運転や電動化の時代に対応するためにも、利益率が低いのは課題だ」と八郷社長自らが認めるように、効率のよい車造りは喫緊の課題となっている。

そこで従来の車造りの方法を見直し、収益性を改善するため、本社の中に「4輪原価企画部」を新設する。三部敏宏・4輪R&Dセンター長は「商品力を重視するあまり、研究所が造りたい車を造ってきた。マイナーチェンジで変更を加えすぎるなど、コストの管理が甘くなっていた」と、これまでの4輪車開発を反省する。

遅れたモジュール化開発を急ぐ

そこでホンダは、車造りの思想そのものを抜本的に改革する。1つ1つの車種を独立して仕上げるのではなく、類似の車台を使う車種をグループ化する。同じグループの車種についてはあらかじめ原価を一括して計画し、原価企画部がその管理を担う体制に変更する。

車造りの収益性を改善するために、現行の「シビック」や「CR-V」、「アコード」は車種間での部品の共通化を進めたが、今後はさらに踏み込み、部品をユニットごとにまとめていく。フォルクスワーゲンやトヨタも進めているモジュール化の流れに、ようやくホンダも乗る形になる。2019年に発売される新型車からこの仕組みが取り入れられる予定だ。

自動運転やEVの開発、モジュール化が進んだ先でも、ホンダらしさは車に込めたい。そんな狙いで昨年10月、研究所内に新設されたのが「商品・感性価値企画室」だ。20年以上の開発経験を持つベテランを中心に幅広い部署から少数精鋭のメンバーが集められた。

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