大王と北越紀州、2割出資巡る「仁義なき戦い」 株主総会で再びバトルも決着は持ち越しへ

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北越紀州製紙の岸本社長(左)と大王製紙の佐光社長。大王製紙の株主総会で3度目のバトルへ(撮影:尾形文繁(左)、梅谷秀司(右))

大王製紙と北越紀州製紙が株主総会を前に再びバトルを繰り広げている。

口火を切ったのは大王製紙。4月12日付けで「北越紀州製紙との総合技術提携基本契約の終了に関するお知らせ」というプレスリリースを発表、2012年に結んだ北越紀州との技術提携を、期間満了の今年11月に終了するとした。これに北越紀州製紙は即座に「大王製紙のプレスリリースについて」というプレスリリースで応じた。「大王製紙が当社に一方的に通告し公表したものであり、了解したものではない」。

大王も黙ってない。「北越紀州製紙のプレスリリースについて」で、「終了させる意向を北越紀州に伝え、意見も聴取したうえで、終了を決議した」と真っ向から反論した。

「了解してない」「いや話した、意見も聞いた」。互いの見解に異を唱え、自らの正当性をプレスリリースで主張し合う、空中戦だ。

救世主だったはずの北越紀州との争い

製紙業界5位の北越紀州は売り上げ規模で業界4位・大王の半分程度ながら、大王の発行済み株式の21%強を保有する筆頭株主だ。北越紀州にとって大王は持分法適用会社、広い意味でのグループ会社になる。ところが、グループ会社といえども、友好関係になく、2社はかれこれ4年もの間、同じような争いを繰り広げている。

2011年に大王の創業家出身会長による背任事件(子会社からの巨額借り入れ)が発覚。その後、事件を巡って大王経営陣と創業家が対立する事態に陥り、翌年に仲介役として北越紀州が登場。創業家が保有する株式を買い受け、持分化した経緯がある。

デジタル化の進展に伴う、新聞や出版などの不振と歩調を合わせて国内の紙需要が低落する中、かねてから北越紀州は、製紙業界首位の王子ホールディングス、2位の日本製紙の大手2強に対抗する「第三極」結集に意欲を燃やしていた。大王株の買い取りは、そうした思惑を具体化する絶好の機会となるはずだった。

だが、その後の両社の関係はもめ事ばかりだ。2013年初に大王の関連会社が北越紀州株を買い集めていたことが露見し、抗議する北越紀州は同年6月に愛媛・四国中央市で開かれた大王の株主総会で、佐光正義社長の再任議案に反対票を投じた。

次ページ注目の6月29日
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