「コミー証言」の証拠価値に疑問符がつく理由 ミュラー特別検察官のバランス判断がカギ

✎ 1〜 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 最新
拡大
縮小
トランプ米大統領(左)に解任されたコミー前FBI長官(右)は8日に上院情報委員会で証言を行う(写真:ロイター/Jonathan Ernst/Kevin Lamarque)

6月8日に予定されている、米国連邦捜査局(FBI)ジェームズ・コミー前長官の議会証言に全米の注目が集まっている。ことによるとドナルド・トランプ大統領弾劾につながる可能性もあり、全米ばかりか全世界が注目しているといっていいだろう。

その証言は、上院情報特別委員会の公聴会で行われるが、大統領行政特権の行使で拒否される可能性も法的にゼロではない。

コミー氏はクリーンハンドではない

この連載の一覧はこちら

コミー証言の最大の注目点は、辞任に追い込まれたマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の捜査について、コミー氏に対してトランプ大統領が、その捜査に手心を加えるよう指示したのではないか、という疑惑だ。

フリン氏が辞任届を出したのは2月13日だったが、その翌日、ホワイトハウスで、トランプ大統領、マイク・ペンス副大統領、ジェフ・セッションズ司法長官、コミー氏の4人が集まった。トランプ氏はコミー氏だけを残し、2人だけで話し合い、そのときの会話をコミー氏はメモに記録しているという。

トランプ氏とコミー氏は3回話をしたが、コミー氏はトランプ氏に「大統領は捜査対象ではない」と言ったという。その発言自体、司法省の内規違反であり、コミー氏自身、完全なクリーンハンドとは言えない。コミー証言の内容について、その信憑性が問われる理由の一端がそこにある。

次ページ強引な捜査手法
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT