ロンドンの観光客はテロくらいで減らない 無差別テロが起きたロンドンのその後

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事件発生を受けて、ロンドンブリッジ駅周辺の広い範囲が警察による管制区域となり、報道陣を含む一般の人々の立ち入りが禁止された。ネットやテレビニュースでは、現場付近にいた人が非常線の外へ避難する前に撮った動画や写真が流されているわけだ。

ロンドン橋北側の地下鉄駅は閉鎖に。このスポットには各国の報道陣が詰めかけていた(6月4日午後、筆者撮影)

同駅は、事件発生直後から翌日終電まで閉鎖となり、地下鉄は同駅に止まらないという措置が取られた。陸上ではテムズ川に架かるロンドン橋そのもののほか、周辺一帯に大規模な交通規制が敷かれたため、公共バスや一般車を問わず大きく迂回を強いられたほか、橋の北側にある金融街シティでは大半のバス停が使用中止となった。

こうしたとき、地理がよくわからない国外からの観光客は動きが取れなくなる。事態が落ち着いた事件の翌日になっても、交通規制の状況がよく理解できない多くの訪英客がシティ周辺で右往左往していたが、これがテロ事件直後の現場近くにいたとしたらどういうことになるだろうか。おそらく大半の日本人を含む非英語圏から来た外国人は、警察官が怒鳴る「指示」はとっさに理解できないだろうし、もしも地下室などに逃げることになったら携帯電話で話をすることもままならない。

ロンドンは永遠の観光地だ

テロ事件の翌日は日曜日だったこともあり、ロンドン市内は多くの観光客でにぎわっていた。現場となったロンドン橋から下流に約1キロメートル離れた川岸には、世界遺産のロンドン塔がある。ロンドン塔への道を聞いて来たドイツ人男性は「せっかくロンドンに来たのだから」と目と鼻の先にテロ事件現場があるというのにまるで意に介していない様子だった。

ロンドン塔が望めるお土産屋の店主は「テロが起きたといってもこんなに人が集まってくる。ロンドンは永遠の観光地だ」と自信を持って答えてくれた。行き交うテムズ川の観光船はほぼ満員、バスが止まったので国会議事堂前などとを結ぶ高速船の乗り場には長い列と、「テロのことなどどこへやら」という人々の反応に驚かされた。

跳ね上げ橋として有名なタワーブリッジの周辺にはいつもと変わらず多数の観光客の姿が(6月4日午後、筆者撮影)
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