ロンドンの観光客はテロくらいで減らない 無差別テロが起きたロンドンのその後

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金融街シティ側から見たテロ現場のひとつ・ロンドン橋(6月4日午後、筆者撮影)

バラ・マーケットは、もともと週末の日中だけオープンする食材市場だ。名前から業者向けの卸売生鮮市場のような印象を受ける人もいるかもしれない。オーガニック野菜や産地直送の乳製品、畜産物など「値段は高いが良い品」が集まる場所として市民に親しまれている。

英国のほか、欧州各地のいろいろな味が楽しめる食べ物屋台も併設されており、観光スポットとしても人気がある。「良い食材が集まる場所」という評判が広まる中、ここ数年はレストランやパブが徐々に増えていたが、残念ながら殺傷事件はそうした店のひとつで起きてしまった。

警察官削減が総選挙の焦点に?

英国では6月8日、総選挙が実施される。前回の総選挙の後、2年しか経っていない(任期はおおむね4年)が、英国が欧州連合(EU)からの離脱(いわゆるブレグジット)に向けた交渉を行うに当たって政権基盤をより強固なものとするべく、テリーザ・メイ首相が解散・選挙への舵を取ったという事情による。

テロ事件が選挙の直前に起きたとあって、政府も国民も動揺が収まらぬ中での実施となるが、現状で英国では「移民排斥」を訴える勢力がそれほど大きくないことから、「与党・保守党の圧勝の流れが変わることはない」という見方が大勢を占めている。

ただ、現政権は2010年以降、英国全体で警察官を2万人も削減している。「とうとうロンドンでテロとは、本当に困る」とつぶやく近所の主婦は、真っ先に「今の政権は警察を縮小しすぎ」と指摘。こうした意見を持つ有権者が意外と多いのかもしれず、今回のテロ事件を引き金に思わぬ選挙結果が出ないとも限らない。

主婦は「この辺りでトラブルがあってもなかなかパトカーが来てくれないっていうし。もし、本当にテロ事件が起きたらどうするつもりなのかしら……」と疑問の声を上げる。

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