キーエンス、3年ぶりに通常決算に復帰のワケ 4期連続の変則決算から久々の12カ月決算へ

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キーエンスは2014年度から3年連続で営業利益率が50%を超えている。高収益の秘密はいったい何なのか。業界では代理店を通して自社の製品を販売するのが一般的であるが、キーエンスは営業スタッフが直接顧客の生産現場に入り込み、現場のニーズを吸い上げながら製品を売り込む。

12カ月決算で見える本当の実力

自社にしかない特徴的な製品を組み合わせて、顧客企業の課題を解決する提案ができるため、単純な価格競争に巻き込まれない。工場を持たずに生産を委託するファブレス企業であることに加え、コンサルティング会社としての性質も併せ持っている点が、高い営業利益率へとつながっているのだ。

売り上げ規模も右肩上がりを続けている。人件費の高騰などから省人化に向けてキーエンスの製品は引き合いが強く、北中南米、アジア、欧州など全地域で2ケタ成長(現地通貨ベース)を続けている。半導体、液晶、自動車、食品など幅広い業種で顧客基盤を拡大しており、一部顧客が不調に陥ってもほか他の地域や業種で補うことができるのが強みだ。

海外を中心に営業人材の採用を積極化することで、海外展開のさらなる加速を狙うキーエンス。変則決算を繰り返してきたことで実力が見えにくくなっていたが、通常決算への移行で今年度はその真の実力を目の当たりにすることになるだろう。

東出 拓己 東洋経済 記者

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ひがしで たくみ / Takumi Higashide

半導体、電子部品業界を担当

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