フランス国鉄が「TGV」ブランドを捨てる事情 新ブランド「inOui」は定着するのか

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TGVはinOuiへと改称される(SNCFホームページより)

フランスが誇る高速列車「TGV」。世界の高速鉄道輸出競争では、日本の新幹線の強力なライバルでもある。そのTGVが、開業から36年目となる今年7月、「inOui(イヌイ)」というブランド名に改称する。

表向きの理由は7月2日にボルドー―トゥール間に新たな高速鉄道路線が開通するのに合わせて名前を変えるということだが、「シンカンセン」と並ぶ高速列車の代名詞である「TGV」の名を変えるという大きな賭けに出たのはなぜだろうか。

2020年までに改称終える

TGVとは、フランス語の「Train à Grande Vitesse」の略。日本語に直訳すると「非常に速い列車」、つまり高速列車という意味だ。フランス国鉄(SNCF)によると、7月2日にボルドー―トゥール間に続き、既存線のパリーストラスブール間でも改称する。2018年末までに全体の80%で改称を進め、2020年中にはinOuiへの切り替えを終えるとしている。ちなみにinOuiとは、フランス語の「inoui(=前例がない、驚くべき)」を意味するが、「Oui(=はい、イエス)」の意味も含んでいるようだ。

5月29日、パリ・モンパルナス駅でinOuiの新たなロゴマークが付けられたTGV車両がお披露目された。SNCFのギョーム・ペピ総裁は改称発表の会見で、「必要なリブランディング(ブランド再生)だ」と説明した。つまり、SNCFにとってTGVという名前は、ブランド名とは言えるものではなかったからだ。

しかし、TGVは「高速列車」という意味で長年にわたって親しまれている。「いくらSNCFが改名すると力強く訴えたところで、多くの人々はinOuiではなく、TGVと呼び続けるだろう」と現地のメディアは厳しいコメントを付けている。

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