港区より足立区に出店したほうが儲かる理由 立地戦略の敵は現実とずれた「イメージ」だ

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タワーマンションが林立する港区(左)と足立区の中心部、北千住駅前(写真:YNS / PIXTA、rahmananda / PIXTA)

出店するなら港区がいい?

立地にまつわるコンサルタントをしていてよく受ける相談に、「東京23区内に出店するなら、港区がいいですよね?」というものがあります。なぜ港区なのか。

それは拙著『すごい立地戦略』でも詳しく説明しているテーマの1つですが、年収ランキングによるところが大きいようです。都内の23区に住んでいる人の平均年収ランキング(2013年度の各区の課税対象所得を納税義務者数で割って計算)を見てみると、港区は平均年収902万円でランキングでは当然トップ、圧倒的に高い数字です。これを見て、勘違いをする人がいるのです。港区に住んでいる多くの人が、年収900万円近いのだと。

港区には、高層マンションが立ち並ぶ地区もあり、年収が高い人が多いというのは確かなのかもしれませんが、現状は超高額年収を得ている一部の経営者や芸能人などの人たちが、平均値を上げていると考えるのが自然でしょう。それこそ数千万円、数億円といった年収の人が住んでいる可能性が高く、そういった人たちが平均を引き上げているのです。

しかし、多くの人たちの年収は、400万円や500万円など、他の区とさほど変わらないはず。一部のエグゼクティブな人たちを含めたうえでの平均900万円だと、認識することが必要です。

では、多くの人の年収に大差がないとなると、どこの区に出店すればいいのか? 答えは簡単で、「母数の多いところ」、つまり人口の多いところに出店すればいいのです。

港区の人口は約24万人で、23区内で17番目です。最も多い世田谷区の人口は約 89万人と、港区の4倍近くもの人が住んでいます。どちらに出店したほうが、より成功率が高まるか、明らかですよね。

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