中国のキャリアウーマンは、つらいよ 中国人エリート女性のホンネ鼎談（上）

アメリカより中国のほうが稼げる

陳雪：中国人の金持ちで海外移住する人も多いわね。仲のいい友達にも何人かいるんだけれど、彼らが口をそろえて言うのは、「この国には安全感がない」ということ。例えば、我々のように商売やっている者は、自分が稼いだ財産が保護されるという保証がない。

さっき、「人」が大事にされないという話が出たけれど、この国自体が「人」を大事にしていないと思う。私たちは小さいときから、人民は命をかけて公共財産を守らなくてはいけないと習ってきた。社会の核心は国であって、個人じゃないの。海外で事故が起きたりしたら、まず守るべきは個人だけれど、中国では国家の財産を守らなくちゃいけない。

魯悦：教科書にもそういう話があったわね。

陳雪：日常生活では、家を買っても土地は自分のものにならず、使用権は70年だけ。食べ物はいつも問題ばかりだし、子供のミルクには何が入っているかわからない。学校だって公平な競争といいながら、その実、公平な競争なんてありえない。特に北京では、強力なコネと豊かな財力がなければ、いい学校なんて入れるわけがないわ。

以前、アメリカから戻ってくるときに、よく聞かれたの。外国のほうが食べ物は安全だし、空気も新鮮なのに、何を好きこのんでこの汚い中国に戻ってくるのかって。

――なんで戻ってきたんですか？

陳・魯：それは、中国のほうが稼げるからよ！

魯悦：同じ時間働いても倍の収入になるわね。

陳雪：でしょ。私の夫は大学のときにアメリカにわたったんだけれど、同じ時に海外に出た友達で向こうに残っているのはごく少数。あるいは夫だけ戻ってきて、妻と子供は向こうに残っているとかね。

中国のほうがチャンスは多いし、外国で成功するというのはやはり簡単なことじゃないわ。中国は山ほど問題があるけれど、こちらにいれば、金銭面では海外よりずっとよい暮らしができる。

劉陽：そういう意味では、この国は、上昇志向の男性や女性にはあっていると思う。激しい競争に勝ち抜けば、より巨額の財を築ける。そのスケールの大きさは海外の経済ルールの常識をはるかに超えるわ。