あなたの会社で新規事業が実を結ばない理由 社内で案を出した挑戦者を萎えさせるな

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本気で「新規事業の創出」をしようと思ったら、まず募集の段階で明確に経営陣から「フェアウェイ」と「OBゾーン」を明示しなくてはいけません。「自由に」と言っておいて後出しジャンケンで「わが社がやる意味」を問われては、起案者も困ります。

起案を受けて、どこの部署でどう検討するか、明確に指示を出すことなく、表彰だけして「後は善きに計らえ」だけでは、何も進みません。起案者に予算も人事的措置も決裁権も与えられず、社内で路頭に迷ってしまっているケースを数多く見てきました。

事務局は、経営陣からどういう決裁を取らないと事業案の検討が前に進まないかをしっかりと見極め、評価の段階で経営陣に腹括りを迫る必要があります。経営陣も「提案の機会を与えてやった」というスタンスではなく、「通常業務の中から時間を割いて起案してくれたことに感謝」というスタンスでなければいけません。

経営陣と事務局には、せっかくの社員のモチベーションを無駄に浪費してしまうことにならないような運営が望まれます。

社内起案の機会は有効に使うこと

とはいえ、なかなか完璧な制度・仕組みというものもありません。もし社内に自分が起案して経営陣に提案できるような制度や仕組みがあれば、企業人としては積極的に活用されることをお勧めします。

筆者はビジネススクールの教員を務めていますが、ビジネスマンとしてのスキルを高めるために座学より実経験に勝る学びの機会はありません。新規事業の検討は、ゼロからイチを生み出す過程の中で、何がビジネスの要諦であるか、学びがとても大きいです。

もちろん実際に業務として新規事業の検討や立ち上げが経験できればいちばんなのですが、なかなかその機会は多くありませんから、疑似体験かもしれませんが、一度自身の手で新規事業案を考えてみるのは、良い経験となるはずです。頭で考えているだけなのと、実際に書面に落としてみるのとでは雲泥の差です。

普段営業系の仕事をしている人は調達や生産のことを、製造系の仕事をしている人はどうやって売るかを、人事・総務・経理といったバックヤードの仕事をしている人も事業全体を俯瞰的に捉えられるようになります。

これはまさにビジネススクールで教えようとしていることと同じ効果です。

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