セミナーレポート

実践者が語る、失敗の本質と成功の条件

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生産性×ワークスタイル変革
生産性を改善するワークスタイル変革とは?

Sansan
Sansan事業部
事業企画マネージャー
柿崎 充

クラウド型名刺管理サービスを提供するSansanの柿崎充氏は、クラウドがもたらす働き方の変化について報告。クラウド型社内システムに移行した同社では、企業向けSNSで社内にオープンにやり取りを行ない、グループウエアにより一つの文書を同時に複数人で編集することが可能になった。これにより、従来の上司と部下のクローズドなつながりから、社内の個人同士が多様につながってリアルタイムに協働する働き方に変化。多様なつながりは、生産性・創造性を高める重要な要素になる。

同社の名刺管理サービスは、役員や管理部門を含む全社員が交換した名刺を取り込んでデータベースを作成。それを社内で共有することで、社員が持つ多様なつながりを営業などに活用できる。作成した顧客データで新規契約30%増を達成したり、M&Aした子会社とのデータ統合の代わりに、名刺から共通の顧客データベースを構築した会社がある。顧客データ、ダイレクトメールで6次産業化を進める農場など、導入実績は約5500社に上る。「当社のミッションである、ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新することに取り組んでいきます」と述べた。

スペシャル公開講座
「日本の成長にはいま、何が必要ですか?」
ー課題解決の処方箋ー

双日総合研究所
チーフエコノミスト
吉崎 達彦

経済の主要な動きが遊びになった遊民経済の時代には発想を変えることが必要という双日総合研究所の吉崎達彦氏は、生産性について「アウトプットを増やし、インプットを減らせば向上する」と簡潔に説明。人口減社会では、人がもっと動くことが必要で「人に来てもらうには、まず自分から出かけてお金を使わなければなりません。経済は相互作用で活性化するもの。自分は動かず、人に来てもらってお金を使ってもらうという考えは間違い」と訴えた。また、数万人を呼び込む観光資源の整備でも地方の県の人口比で考えればかなりの効果があるとして「向こう30年安泰になる大成功を考える必要はありません」と、小さな成功から目指すべきという考えを示した。

明治大学 政治経済学部
准教授
飯田 泰之

生産性は需要発見能力が大事という明治大学の飯田泰之氏は、地方の町おこしで、よそと同じことをする横並び重視の風潮を指摘。「すでにある成功例をまねしてはいけない」と強調。また営利目的でない公共の仕事を志向する公務員に儲けを求めるのは無理があるとして、地域経済の生産性向上には「ビジネスをしたい人を取り込むことが重要」と述べた。地方創生戦略は、一人当たり所得を増やすモデルを考える中小都市と、人が出会い新しいアイデアを生む50万人規模以上のエリアとでは別に考えるべきと主張。アイデアの源泉となる多様な人との出会いを促進するため、社内の別部署と交流できる場作りや、地域イベントへの社員の派遣、社員の副業の一部解禁などを提案した。

オガールプラザ
代表取締役
岡崎 正信

岩手・紫波町で、採算性を重視した公民連携などの町づくりに取り組むオガールプラザの岡崎正信氏は「補助金に頼れば、生産性を上げようと思わなくなる」と、民間資金にこだわる理由を語った。

事業は「補助金メニューのないところで人々の百の欲求を感じて一つをつくる感覚」でつくるという。バレーボール専用体育館をはじめ、さまざまな事業を成功させたが、前例がないため、地元の一部からは「失敗する」と言われ続けてきた。その経験から「地方には生産性を上げさせない仕組み」があり、乗り越える「強い心」が重要と主張。

人口減については財政の問題が大きいとし、宅地や床面積を増やす区画整理や再開発では、土地余りが進み、地価下落、税収減につながると懸念した。

【受講生】
タレント(TKO)
木本 武宏
【進行役】
フリーアナウンサー
内田 まさみ

受講生役のTKO木本武宏氏は「生産性向上は思ったより難しいことではなく、欲や興味といった誰でも持っているものを膨らませられるかどうかということかもしれません。遊び心や、さまざまな人との付き合いといった緩いところにチャンスが潜んでいそうです」と感想を述べた。

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