大量生産品が時に「職人の一品」を超えるとき

時計も寿司も大事なのはあくまで全体だ

ネタだけ、あるいはシャリだけが良くても決して寿司にはならない(Illustration: Osushi Muroki)

良い時計とうまい寿司。時計ジャーナリストの広田雅将は、”パッケージング”に共通項を見出した。

にぎり寿司の魅力は時計に同じ

当記事は「GQ JAPAN」(コンデナスト・ジャパン)の提供記事です

銀座に時々行く寿司屋がある。表向きの理由は寿司を食べることだが、食べながら考えているのは、寿司ではなく時計のことだったりする。というのも、にぎり寿司の魅力は時計に同じだからだ。個人的な意見を言うと、下手な時計を見るより、少し無理をしていい寿司を食べた方が、よほど時計の勉強になるのではないか。広田が語っても説得力はないが、あるメーカーのCEOも同感と話していたので、安心して話を進めることにする。

にぎり寿司と時計で大事なのは、常にパッケージングである。ネタだけ、あるいはシャリだけが良くても決して寿司にはならない、というのがミソだ。どちらかが優れている場合、感心するし面白いと思うが、それだけである。昔、大ネタを自慢する店で寿司を食べ、ついでに長い講釈も聞かされたが、まったく食べた気がしなかった。帰りにスーパーに寄り、売れ残りの折り詰め寿司を買い、そちらの方がはるかに寿司らしいと思った。ペナペナの硬いマグロと、小さく握ったシャリの組み合わせは、まことにバランスが取れていた。

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