資産運用特集

いま知りたい「これからの資産防衛術」とは

依然として続くマイナス金利時代にできること

相変わらず超低金利が続いている。日銀は、昨年9月から行っている「イールドカーブ・コントロール」によって、10年物までの金利を0%水準で推移させるとともに、安定的に消費者物価指数が2%の上昇率を維持できるまで金融緩和を継続する方針だ。金利がほとんど得られないいま、どうやって資産を守っていけば良いのだろうか。金融ジャーナリストの鈴木雅光氏に、いまの時代だからこその資産防衛術を紹介してもらった。

「貯蓄から資産形成へ」

これまで金融庁は、「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げていたが、それを昨年秋に、投資という文言を資産形成に切り替えた。

投資という言葉には、なぜか「値下がりする」というネガティブなイメージがつきまとうが、資産形成という言葉を用いれば、資産を着実に積み上げていくというポジティブなイメージに切り替えられるかもしれない。もちろん、投資も資産形成も、その違いは紙一重だ。特にいまのような超低金利下において資産形成をするためには、積極的に株式や外貨などの投資商品を、ポートフォリオに組み入れる必要がある。なぜなら、いずれ到来すると思われるインフレへの備えを、きちんと行う必要があるからだ。

鈴木 雅光
金融ジャーナリスト/JOYnt代表
岡三証券、公社債新聞社などを経て2004年にJOYnt設立。雑誌や書籍の編集などを数多く手掛けている

日銀は、消費者物価指数の上昇率が安定的に2%で定着することを、インフレ目標値にするのと同時に、2%が安定しない限りは、金融緩和政策を続行すると明言している。仮に消費者物価指数の上昇率が2%を超えたとしても、金融緩和を継続するとしたら、物価はさらに上昇する。金融緩和を継続する限り、預貯金など確定利付商品のリターンは、物価上昇率を下回る恐れもあるのだ。

預貯金の金利が物価上昇率に追いつけなかったとしたら、それが何を意味するかお分かりだろうか。物価が年々5%ずつ上昇しているのに、預貯金の金利が年0.1%程度だったら、お金の価値は毎年4.9%ずつ目減りしていることになる。この状況を打破するためには、保有資産の一部をインフレに強い資産へと切り替えておかなければならない。

インフレに強い資産とは

では、インフレに強い資産とは何か。株式はその代表的なものであり、次いで世界中の株式市場に分散投資する投資信託が、インフレに強い資産として頭に浮かんでくる。なぜ株式はインフレに強いと言えるのか。これは、物価の上昇によって名目上の売上高が伸び、結果的に利益の増加につながっていくからだ。投資家は、利益がどんどん伸びている企業の株式を買いたいと考え、実際にその銘柄を買う。結果、株価が上昇する。つまり、インフレが進むと株価が上昇するため、株式を保有していれば、インフレが進んだとしても、資産の目減りを最小限に抑えることができる。当然、株式を組み入れて運用する投資信託も、インフレに強い資産とみなされる。

またコモディティもインフレに強い資産として知られている。金やプラチナなどの貴金属は、その代表格だ。そもそもインフレとは、モノの値段が上がることだから、世の中全体にインフレ傾向が強まれば、コモディティの価格も上昇する。

あるいは不動産はどうか。昔から、不動産はインフレに強い資産と言われてきた。特に日本に関して言えば、土地が狭いため、総じて需要過多であり、地価は上昇し続けるという土地神話が、戦後、長年にわたって醸成されてきた。しかし、これからの日本は人口減少が本格化するため、従来の土地神話は通用しなくなる。

そもそも不動産は、土地だけでは何も生まれない。そこに上物を建てることによって、初めて賃貸収入などのインカムゲインを生み出す。このインカムゲインが、物価上昇率を上回り続ければ、インフレリスクはヘッジできる。さらに言えば将来的に不動産を継承する際にも、賃貸住宅であれば課税評価額が軽減されるというメリットもある。これからの不動産投資は、単純に地価の値上がりを追求するのではなく、土地の有効活用によって、収益や課税対策方法を生み出せる不動産に変えていくことがポイントになると言っても良いだろう。

分散を心掛ける理由

株式、投資信託、コモディティ、不動産。いずれもマイナス金利時代にインフレが進んだ場合、預貯金では不可能なインフレリスクのヘッジ手段として注目されるが、ひとつだけ注意点がある。それは、いずれも元本が保証されていないため、値下がりによって資産価値が目減りするリスクを、分散投資によって軽減させる必要があることだ。

株式に投資する際、単一の銘柄に集中投資することのリスクは、多くの方が理解している通りだ。投資信託も、たとえば日本株式のみで運用する投資信託だけを保有すれば、資産価値は日本株の動向のみに左右される。日本の景気が後退し、日本株が値下がりすれば、資産価値は目減りせざるを得ない。したがって、株式の個別銘柄に投資するならば、複数銘柄に分散投資させる。また投資信託ならば、複数地域・国の株式市場に分散投資されている投資信託を保有するか、もしくは自分で複数地域・国の投資信託を組み合わせて保有する。ちなみに株式の個別銘柄投資は、少数の銘柄に分散投資しても、なかなか分散投資効果が得られないので、たとえば日本以外の地域・国の株式を組み入れて運用されている投資信託と組み合わせると、比較的容易に分散投資効果が得られるはずだ。

そして最後に一つ。株式投資にしても投資信託にしても、あるいは不動産もそうだが、基本的には長期で保有できる資産に投資することが大切。長期的に成長する、あるいは長期的にインカムゲインが積み上がっていく資産に投資することが、マイナス金利時代の資産防衛術になるのだ。

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