トランプ政権、「バノン復活」がもたらす災厄 このままではジャパンバッシングが再燃する

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クシュナー氏のロシア疑惑はもっと深刻だ。クシュナー氏は、選挙戦中、ロシア外交官に極秘通信ルート開設を打診したのではないかと疑われている。その嫌疑で議会に聴取や召喚されるかもしれない。

そうなると、機密情報の取り扱いを許されなくなる可能性も高まる。すでに辞任に追い込まれたマイケル・フリン氏(前国家安全保障担当補佐官)は、その取り扱いの許可を取り消されている。クシュナー氏もそうなる可能性がすでに取り沙汰されている。

フリン氏は「ロシアゲート」の中心人物と目されている。駐米ロシア大使との交信記録の存在が明らかにされ、それまで本人が説明していたことに偽りがあることが判明し、政治生命を失った。

日本にとってクシュナー氏を失うダメージは大きい

トランプ大統領はフリン氏の実力を高く評価している。フリン氏の捜査に手心を加えるよう、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官に圧力を加えたのではないか、という疑いがトランプ大統領にかけられており、さもありなんといえる。

そのFBI長官を電撃的に解任したから、もしその疑いが事実だとすると、連邦法上での「司法妨害」という刑事法違反に当たり、大統領弾劾の可能性も出てくる。いまのところ、その可能性は低いが、捜査の過程でクシュナー氏が議会に召喚される可能性は十分ある。

クシュナー氏はフリン氏と行動をともにすることが多かっただけに、民主党やFBIのクシュナー氏に対する関心は高い。このフリン絡みの危機をうまく潜り抜けたとしても、クシュナー氏がホワイトハウス内の権力闘争で、より不利な立場に立たされるかもしれない。日本にとって、この親日家のクシュナー氏を失うことのダメージは大きい。

ホワイトハウス内の権力闘争は「トランプ親族グループ」「共和党グループ」「反エスタブリッシュメントグループ」の3派によって争われているという。親族グループはイヴァンカ氏、クシュナー氏。共和党グループはマイク・ペンス副大統領、ラインス・プリーバス首席補佐官。反エスタブリッシュメントグループはスティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問、スティーブン・ミラー補佐官(スピーチライター)だ。

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