トランプ政権、「バノン復活」がもたらす災厄 このままではジャパンバッシングが再燃する

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米国は産休・育児休暇制度では後進国と言っていい。先進国の中では唯一、有給の産休・育児休暇制度がないのだ。そこで、トランプ政権は米国史上初めて産休・育児休暇法案を議会に提案することになっている。

昨年の大統領選挙キャンペーン中に、トランプ陣営は有給の産休・育児休暇制度を公約として掲げていた。トランプ候補の女性票獲得数が過半数を超え、ヒラリー・クリントン候補を上回ったのは、この女性を重視した選挙公約がトランプ氏自身の女性蔑視発言隠しに効いたとみられている。

イヴァンカ氏の「オーラ」に陰り

ところが当時、制度の対象は「出産した女性」に限られ、男性や養子縁組をした親は対象外だった。これに対して、フェミニストグループが反発し、「ナチズム」というレッテルを貼って非難。そのうえ、選挙時の制度設計についてイヴァンカは何の知識も持っていない、と批判の矛先は彼女に向かった。

トランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問(写真)が、ロシア疑惑に関する連邦捜査局(FBI)の捜査の対象となっている(写真:ロイター/Jonathan Ernst)

「ナチズム」というレッテルはきわめて怖いものだ。ユダヤ系の票は「スイング・ヴォート」と評され、振り子のようにどちらかに一気に振れる傾向がある。イヴァンカ氏はクシュナー氏と結婚して、ユダヤ教に改宗した。ユダヤ系の票がトランプ陣営から離れるような事態は避けたい。

結局、トランプ政権の産休・育児休暇法案は、イヴァンカ氏のリーダーシップで、大きく変わった。フェミニストグループの意見を取り入れ、その対象として男性も養子の親も含まれることになったのだ。

ただ、当初の「トランプ案」にあった(と批判されている)ナチズム的側面について、イヴァンカ氏はその内容を知らなかったのは事実。この点は「不勉強」というそしりを免れない。

いずれにしても、選挙民がイヴァンカ氏に対して抱いていた「オーラ」に陰りがさしたことは否めない。

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