中国企業がコンドーム大手を買収したワケ 性意識高い若者需要が後押し

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スーパーの棚には、アンセルのブランドで、中国語の発音が「ジェームス・ボンド」に似ている「ジスボン」や、高級ラインの「スキン」が並ぶ。他に、中国メーカーの「エンドレス」や「プレジャー・モア」などの商品もある。

Daxueコンサルティングによると、中国のネットショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」では、デュレックスの売り上げが、他に差をつけてトップで、ジスボン、オカモト、地元ブランドの「第6感(シックスセックス)」や「名流」が続く。

アンセルは25日、中国の人福医薬集団<600079.SS>とCITICキャピタル・チャイナ・パートナーズに対して、コンドーム事業を売却することで合意したと発表。人福医薬集団は、市場戦略についてコメントしなかった。CITICにも現段階でコメントに応じなかった。

コンドームとセックスの話題は、ポップ・カルチャーの中で広まりつつあるが、中国における裸体表現についての厳格な規制のため、コンドームの広告は、他のアジア市場に比べて抑制的で限定的だ。若者は、オンラインのチャットでも話題にするが、隠語を使うことが多い。

ポルノ映像は依然として違法だが、ネットでは、ポルノ映像を探す独特の検索用語があり、若い世代は鑑賞する方法を知っている。内容が充実した非合法サイトの見つけ方を知っている人は、「車を見つける」のを助けてくれる「オールド・ドライバー」と呼ばれている。

政府も、HIVやエイズなどの性感染症についての知識を広めようと、高校に性教育の教科書を導入したり、大学生向けにキャンペーンを行ったりと、対応を取っている。習近平国家主席の彭麗媛夫人も、HIVやエイズ対策の意識を高めようと、積極的な活動を行っている。

性への意識が変化

性への保守的な意識は、中国共産党が政権を握った1949年以降に広まったが、社会が豊かになり、海外旅行や外国のポップカルチャーに触れる機会が増えるにつれて、それはゆっくりと変化してきた。

子供を1人産んだカップルが、再び妊娠することを避けるためにより永久的な避妊法を利用していた20年前とは、隔世の感がある。だが今でも、不妊手術やIUD(子宮内避妊器具)が、コンドームより多く利用されている。

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