首都圏の鉄道、「廃線跡」の知られざる活用法

「細長い土地」はこうして地域住民に愛された

駅跡地が商業施設として開発された例はこれまでもあるものの、細長い土地である線路跡地は、その多くが道路や遊歩道、宅地等とされる中で、商業施設として開発されたのは珍しいのではないか。

ログロード代官山の土地および施設の所有者で管理者でもある東急電鉄を訪問し、商業施設として開発するに至った経緯などについて、話を聞いてみた。

なぜ、商業施設になったのか

東急電鉄の都市創造本部の杉本里奈氏、幡場喬二氏に、ログロード代官山の開発の経緯について、質問させていただいた。(以下、敬称略)

――一般に廃線跡は、自治体等に売却・譲渡されるケースが多い。東横線でも東白楽―横浜間地下化後の地上線跡は横浜市により緑道として整備されているが、渋谷―代官山間は自社所有のまま開発した理由は?

幡場:東急電鉄は、渋谷駅を中心に代官山・中目黒・原宿等を含む"広域渋谷圏"を都市開発の重要拠点として位置づけている。お客様の回遊性を高めること、最終的には更なる東急沿線の価値向上という目標に向け、今回の事業は自社開発で行うという判断になった。跡地をどのようにするかは、住民の方々のみならず、行政からも注目された。

――計画段階で、商業施設とする以外にも案はあったのか?

幡場:賃貸住宅やオフィスなどさまざまな検討を行ったが、"広域渋谷圏"における回遊性をどう高めるかが、この事業の最大のミッションだった。商業施設でありながら、気持ちの良いパブリックスペースを広めに用意することで、そこに人が集まり回遊し、結果として、周辺エリアも活性化していくイメージを描いた。

杉本:ログロード代官山の計画地は、住宅地中心のエリアで、今までは、どちらかというと"商業エリアの代官山"としてイメージされにくい場所だった。ログロード代官山は、"代官山"という街を広げる役割や、今まで線路により分断されていた代官山町と恵比寿西という2つのエリアを横断的につなげる役割も果たしていると思う。

――開発に当たって、線路跡地ならではのメリットや制約があったならば、教えてほしい。

ログロード代官山は遊歩道沿いにコテージライクな店舗建物が点在する洗練された空間が広がる(筆者撮影)

杉本:まとまった広さではあるものの線形の土地であるがゆえに、経済合理性を確保しながらも、オープン空間を広めに確保し、分棟型のコテージライクな建物を点在させるという、ゆとりのある空間設計ができた。今までにない思い切った企画ができたのは、この土地の形状ならではだと思う。また、施設の入り口付近に、かつてドラマのロケ等で度々使われた「渋谷1号踏切」があったことや、多くの人々が車窓から毎日のように眺めた"なじみの場所"であることは、商業施設として運営するうえで、大きなメリットであると考える。

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