セルジオ越後「J1に18チームは多すぎる!」 W杯で勝ちたければ、レベルアップが急務だ

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振り返ってみれば、日本はアジア予選をダントツで勝ち抜いたことはないんですね。1998年フランス大会のときは、イランとの第3代表決定戦までもつれているし、2006年ドイツ大会のときもイランに敗れた。2010年南アフリカ大会のときもバーレーンやオーストラリアに敗れたし、2014年ブラジル大会のときも北朝鮮、ウズベキスタン、ヨルダンに敗れています。

その結果、ワールドカップ本大会でどうだったか。大会直前に超守備的なサッカーに変えた南アフリカ大会のときだけ、かろうじてベスト16に進出しましたが、あとの3大会はやはりグループステージで惨敗しています。

原口や久保が「真のエース」になれるかに注目

――日本はその南アフリカ大会と、開催国として戦った2002年日韓大会のベスト16が最高成績です。ベスト8以上を目指しているなら、予選で苦戦している場合ではないと。

そうなんです。初戦でUAEに喫した敗戦はもう取り返せませんから、せめて残り3試合はしっかりと3連勝を飾ってもらいたいですね。

もうひとつは、原口元気(ヘルタ)と久保について。彼らにはこの3試合でチームにおける確固たる地位を確立してほしいと思います。原口は昨年9月のタイ戦から4試合連続ゴールを決め、久保は今年3月のUAE戦、タイ戦で連続ゴールを決めていますが、まだラッキーボーイ的存在にすぎず、真のエースではありません。

本田にチームを引っ張る力がない以上、原口や久保にチームを牽引してもらわないと困ります。真のエースになれるかどうか、彼らのプレーに注目したいですね。

――ところで、ワールドカップの出場国が2026年大会から現状の32チームから48チームに増えます。それに伴って、アジアの出場枠も現在の4.5チーム(4枠に加えて、5位チームが2大陸間のプレーオフで勝った場合にもう1枠)から、8.5チームに増えることが決まりました。

アジアは8枠が確約されたうえに、欧州以外の5大陸から1チームずつと開催国の大陸から1チームが参加する計6チームのプレーオフでもう1枠を争います。

日本にとっては大問題だと思います。今回の最終予選は10チームで争っていますが、それとほぼ同じ数のチームがワールドカップ本大会に出られるということ。これでは、予選はもう盛り上がらないでしょうね。

一方、ヨーロッパや南米の出場チーム数も増えるわけだから、本大会で日本が勝ち進むのは、今以上に難しくなると思います。つまり、本大会にあっさり出場して、本大会であっさりと負ける。そんなことが繰り返されているうちに、日本における代表人気が冷めていくかもしれません。

――アジア予選がこれ以上緩くなれば、予選を戦いながらチームを強化することも難しくなります。

そのぶん予選が早く終わるなら、ヨーロッパや南米に遠征して強豪チームの胸を借りて強化するのもひとつの手だと思いますが、原点に戻るという意味でも、日本代表のベースであるJリーグのレベルを今以上に上げて、選手を成長させなくてはなりません。

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