「日経平均2万円無理かも説」はいつ崩れるか 強気にも弱気にもなれない投資家が増加中

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株価は上に行くのか、下に行くのか。自信が持てない投資家が増えている。最終的に方向性を決めるのは何か(撮影:尾形文繁)

「上にも下にも自信が持てない投資家」が増加か?

国内の株式市況に膠着感が強まっている。このため、何となく「日経平均株価は2万円を超えない」という見解が蔓延している。この背景は、株価が上がるにも下がるにもパンチのある材料を欠いているため、投資家が相場に強気にも弱気にもなり切れていないためだろう。

先週を振り返っても、海外要因としては、まず米国関連では、ドナルド・トランプ大統領の弾劾観測は全く後退していない。むしろ身内のジャレッド・クシュナー上級顧問までも疑惑の対象とされる事態になっているが、すでに米国株式市場はトランプ政権を見放しているためか、材料としては反応しにくくなっている。

また、5月2~3日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が、先週24日に公表された。物価上昇の鈍さに対する懸念が記されていたうえ、量的緩和縮小(債券再投資削減)のペースに上限を設けるとの案が執行部から示されていたことが明らかになり「緩和から出口を出るスピードは緩やかだ」との観測が有力となった。

これを受けて米国株価が上昇したことは、日本株にとって好材料とみなされたものの、一方で米金利の先高観後退から米ドル安円高気味となって、こちらは日本株の重石と解釈された。さらに、イギリスにおけるテロや北朝鮮のミサイル試射はあったが、日本の株式市況に及ぼした影響としては、限定的だったと言えよう。

一方、国内では企業収益は堅調で、今後の株価の押し上げが期待される。しかし決算発表は一巡してしまったため、目先の材料としては力不足だ。
投資家動向においては、前回のコラムで、国内機関投資家は、「懐疑心がある間はあまり買いに出動しないが、懐疑心が薄らぎ割安との議論を社内で信じる空気が広がると、「投資委員会」などの社内会議で国内株を買おう、という結論になってくるだろう」と書いた。

実際、5月第3週(5月19日に終わった週)には、背後に年金等を抱える信託銀行は、今年度初めての買い越しを記録した。海外投資家も、金額の増減がありながらも、買い越しが続いている。6月の株主総会シーズンを過ぎると、事業法人は自己株買いを一段と活発化しよう。その一方で、株価上昇に懐疑的な投資家の、戻り売りもかさんでいるようだ。

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