キタムラがTSUTAYAに助けを求めた理由 写真プリントの不振で上場来初の最終赤字に

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店舗の閉鎖だけでは成長戦略は描けない(記者撮影)

写真専門チェーンのキタムラが、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に出資を仰ぎ、苦境を脱する道筋を模索する。6月1日にCCCに対し、第三者割当増資を行う。

併せて創業家である北村家のプライベートカンパニーで、筆頭株主の「キタマサ」が保有している株式(所有割合12.3%)も、CCCに売却する。CCCはキタムラ株の約30%を保有し、筆頭株主になる見通しだ。

背景にはキタムラの厳しい経営状況がある。2015年3月期以降は減益トレンドが続いてきたが、この5月に発表した2017年3月期決算は散々な内容だった。主力業態「カメラのキタムラ」の不振で、純利益は19億円の赤字に沈んだ。最終赤字になるのは上場以来で初めてのことだ。

デジカメプリントが苦戦

原因は「カメラのキタムラ」でのデジカメプリントサービスやデジタルカメラ本体の販売が奮わなかったことだ。

中でもプリントサービスの不振は深刻だった。スマートフォンに搭載されたカメラの高機能化が進み、SNSなどで画像の共有は増える一方、写真現像が低調で推移。一昨年にマイナンバーの特需があった証明写真が反動減となったことも響いた。

売り上げの約半分を占めるカメラ販売も、熊本地震の影響でメーカーの生産・出荷が遅れたことが響き、大きく落ち込んだ。期待したスマートフォン販売も、総務省が実質ゼロ円の販売を規制したことなどで苦戦を強いられた。

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