なぜ男たちは「藤原ヒロシ」に行列するのか 男消費、女消費はこんなにも変わってきた

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こうした行列だが、時代により変遷はある。1980年代は「コムデギャルソン」、1990年代の「BAPE」「ゴローズ」、2000年代の「マスターマインド」「supreme」……。そして2010年代、売れない時代と言われる今、行列ができるものは刻々と変わっている。ではいったい、男性の消費、女性の消費はどう変わってきたのだろうか?

なぜ男は「藤原ヒロシ」が好きなのか?

アパレル展示会の「ファッションワールド」で藤原ヒロシが登壇した時、会場は立ち見客であふれかえった。そのほとんどが男性だった。1980年代、日本にいち早くDJというカルチャーを海外から持ち込み、ミュージシャンとして活動。1990年代、ストリートファッション雑誌の常連となり、当時の裏原宿のストリートファッションの生みの親とも言われる存在となる。NIKEやリーバイス、STUSSYとコラボという形でファッションプロデュースをし、数々の行列伝説を生み出していった。

「藤原ヒロシとは、1990年代の白洲正子なんですよ」と同世代の男子は言う。当時、『モノマガジン』という雑誌の連載で、Rolexの時計やRedWingのブーツなど昔からあった定番アイテムをピックアップし、着こなしを提案していた。DJがそうであるように数多くあるものの中から「かっこいいもの」を拾い出し、理論武装する。

彼はメンズマガジンの中で “目利き”として存在した。彼が選ぶもの、彼がコラボするものは次々とヒットした。それは日常的な道具である日本の民芸品に注目し、民藝運動に関わり、古道具を権威づけていった目利きの白洲正子のようだというのだ。

その藤原ヒロシが今回世界のブランドの権威中の権威、ルイ・ヴィトンとコラボしたというのは意義深い。フロントに大きく“F”の文字がついたスタジャン33万6000円、トートバッグ22万2000円など、高額商品が完売していく。すっかり大人の男子は狂喜したのである。

コラボ、期間限定、レアアイテム。男子はこの言葉に弱い。そう言ってうなずく人は少なくないだろう。

たとえばリーバイス501は「赤耳」とか「イエローステッチ」などこと細かなディテールによって作られていった。ファッション好きな日本の男子の間ではそうしたうんちくも当たり前の話のように話されるが、リーバイスの本家本元のアメリカではそんなオタク的な知識を持つ人もほとんどいない。日本ならではの文化がそこにはある。

ナイキエアマックスに代表されるスニーカーの変遷。こちらも年代ごとのレアモデルが取り引きされる。

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