「社内は敵だらけ」と自覚しない人は損をする 成果を出す人は、受付の人まで仲間にする

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社内営業という言葉には否定的ながら、実態としては社内営業を行っている人。そんな人が意外に多いと筆者は感じています。さらに言えば、職場で活躍している人を取材していると、巧みに社内営業をしている状況に遭遇する機会がたくさんあります。

新規事業を立ち上げて成功した製造業勤務のSさんは、社内営業のかいもあってプロジェクトを成功させたひとり。自ら起案したものを、経営会議を通すために担当役員だけでなく、全役員に対してすり合わせを実施。その過程で、各役員から出てきたネガティブな意見を払拭できるよう対策を講じました。結果、経営会議では満場一致でSさんの案が可決されました。こうした活動はまさに社内営業なのですが、Sさんにはその認識はなかったようです。

「自分のやりたいことを実現するために、何をすべきか? 考えて行動しただけです」

と答えてくれました。まさに社内営業は自分が「やりたいこと」を実現するために必要なことなのです。

多くの職場の仕事が「縦割り」である

社内営業が必要になるその背景には、多くの職場の仕事が「縦割り」であるという状況があります。

同じ部でもいくつかの課があれば、それらはライバル関係になりえます。また、同じ課の上長と部下は濃密で強固な関係になっても、違う課の人とはそうはなりにくいもの。ましてや部が違えばさらに距離は遠くなりますし、大企業で事業部や本部が違えば名刺交換をするほど遠い関係であることもあります。

自分の所属する最も小さな単位の組織を除けば、社内の人は「敵」ではないものの、大体は「知らない人」の集まりなのです。同じ会社の人間だからといって「仲間」とは限らず、ほとんどは関係のない「赤の他人」と考えたほうが妥当ではないでしょうか。

取材した広告代理店の社長が「当社のライバルは他社ではなく、社内にいるといわれています」とコメントをくれたことがありました。当初は、変な話だと感じましたが、内情がわかってくるとその意味を痛感することになります。

隣の営業部はライバル。自分の部署で入手した情報が、別の部署に有効なものであれば絶対に提供しない。あくまで営業単位が一国一城のように活動していたのです。この縦割りの組織で横断的に活動するのが社内営業。そして、社内の「知らない人」を、「仲間」「味方」のような存在に変えることで得られることがたくさんあるのです。

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