フォードがハケットをCEOに抜擢した理由 シリコンバレーと闘うための大決断

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ミシガンのグランド・ラピッズに拠点を置くスチールケースのCEOとして、ハケット氏は何千人もを切り捨て、同社を再び改革へと集中させた実績がある。

フォードの取締役でもあったハケット氏は2016年3月、フォード・スマート・モビリティの運営責任者にならないかと持ちかけられた。フォード・スマート・モビリティは自動運転、ライドシェア、その他ベンチャー事業への進出を監督し、指揮することを目的に創設されたユニットだ。

この役割の中で、ハケットはサンフランシスコのライドシェア会社「チャリオット」と、ロボット工学と人工知能に重点を置く自動運転スタートアップ企業「アーゴ AI」への投資を決断した。

デトロイトでのプレッシャー

フォードで起きた動乱は、デトロイトの自動車メーカー3社全社に対するプレッシャーの反映でもある。アメリカの自動車市場が昨年の記録的売り上げから失速する中、損失を避けることができると証明するよう、株式市場からプレッシャーを与えている。

GMのCEO、メアリー・バーラは、同社を分割したいと考えているヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルからの攻撃に応戦している。3月にはGMは同社の損失元であったオペルのディビジョンをフランスのPSAグループに売却して事実上、欧州から撤退した。

フォードにとっても欧州は課題だ。今回のCEO交代に併せて、ヨーロッパ・フォードの責任者だったジム・ファーレイがフォードの地域売り上げと世界中でのマーケティング業務、そして同社のラグジュアリーブランド「リンカーン」を包括する新しい「グローバル・マーケット」グループの責任者になると発表した。

まずは人員削減の規模にも注目が集まる。前述のようにフォードは5月17日、北アメリカとアジアで1400人の従業員の雇用を打ち切ることを発表した。これは、いくつかのニュースメディアが報じている2万人の雇用削減計画の一部なのだろうか。

(記者:デイヴィッド・シェパードソン、ジョセフ・ホワイト 追加報告:パリのローレンス・フロスト、フランクフルトのエドワード・タイラー、ロンドンのコスタス・ピタス、ベンガルルのイスマイル・シャキル、ベルリンのアンドレアス・クレーマー 共同編集:ニック・ジーミンスキー著、リサ・フォン・アーン、ビル・リグビー)

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