高級ブランドが頼る縫製工場イワサキの秘密 高度な技術を学べる職場に就職希望者殺到

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イワサキの岩崎靖璋会長(右)と安達正敏社長(左)(筆者撮影)

中小企業で今1番の悩みは、仕事の確保ではなく人材の確保です。特に、飲食店関連の人材が不足しており、店をオープンしようとしてもスタッフが集まらず、開店を延期するところが相次いでいます。

ことはサービス業に留まりません。モノづくりの企業でも、人材不足が深刻です。そこへ、働き方改革が叫ばれ、長時間労働もできなくなっています。仕事があっても人手が間に合わず、泣く泣くその仕事を断ってしまうケースも増えているようです。

採用の5倍の求人が集まる縫製工場

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ところが先日取材した中小企業で、意外な話を聞きました。東大阪にある縫製工場のイワサキさんです。

「今年の春も13人採用します。でも、7割の人はせっかく全国から応募してもらったのに不合格にさせてもらいました。ツラいですわ」と、安達正敏社長。お隣で、創業者の岩崎靖璋(やすあき)会長もうなずいています。ということは、東大阪の一中小企業に北海道から沖縄まで全国から約50人以上も応募があったということです。

縫製工場が、失礼ながらそんなに人気があるとは思えません。一般には、地元の女性パート社員が大半だと思います。しかしお話を聞くと、当社では全員大学卒か専門学校卒で、基本的に高卒は採用していないとのこと。さらに、全国からの応募者の就職試験は2泊3日に及びます。もちろん、交通費、宿泊費は学生の自己負担です。それでも、たくさんの学生が受験に訪れます。給与が高いかといえば、平均並みです。

合格した新入社員の方に感想を聞きました。「まさか受かると思っていなかったので、うれしいと同時に驚きました」。狭き門に合格して、張り切って仕事をしているそうです。

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