《対決!世界の大空港4》中国・北京/上海 航空自由化へカウントダウン、激安に火花散る中国の空

 アジアの国際ハブをめぐる競争に、中国が参入し始めた。その代表格が北京首都国際空港だ。今年3月に3番目のターミナルと滑走路の供用を開始し、急速に存在感を高めている。

北京五輪開幕に合わせ急ピッチで建設された新ターミナルは、巨大な不夜城だ。東京ドーム21個分と世界最大規模のこのターミナルには、午前零時を回っても乗客や送迎客の姿が絶えない。

「グッドイブニング! 両替はここよ」。手を振りながら声をかけるのは、英資本の外貨両替商・トラベレックスのスタッフ。国有銀行の職員が人民元を投げてよこした時代とは隔世の感がある。出国審査もゲート数が格段に増え、審査待ちの行列が短くなった。

ある豪州人の夫婦は、シドニーからシンガポールを経由して北京へ到着した。乗り継ぎ時間を利用し数時間の北京散策を楽しんだ後、早朝のウランバートル便を待っているという。「毎年旅するけれど成田は利用したことがない。乗り継ぎ時間に観光したくてもおカネと時間がそうとうかかるって聞いたからね」。北京空港から市内までなら、タクシーに乗れば約30分、90元(約1400円)で着く。朝晩の交通渋滞を除けば、確かに成田空港より便利だ。

従来、国内移動の拠点とされてきた北京空港がここにきて急速に国際路線の取り込みを始めたのは、国家的な航空戦略の一環だ。「大から小へ、3段階の空港のネットワークを全国に張り巡らせる」。08年1月に発表した空港政策の中期計画で、中国政府はそう宣言した。

北京、上海、広州の空港を国際旅客・貨物が集まる3大ハブとして強化すると同時に、重慶、成都など9市の空港を国際・国内路線が混在する準ハブとする(下図)。さらにハブ・準ハブから全国約230の地方空港に網の目のように地方路線を就航させる。典型的なハブ&スポーク戦略だ。このネットワーク形成に向け今後約100カ所の地方空港を新設、20年には全国の人口の8割が車で1時間半以内の移動で空港にアクセスできるようになるという。

スポークの一方の端は、約10億人が住む内陸地方都市に集中している。そしてハブ・準ハブを挟んだもう一端は、欧米各国など世界につながる。つまり従来沿海部の後ろに控えていた内陸から、10億人の中国人とモノが洪水のように往来できるネットワークが広がるわけだ。

このハブ&スポーク戦略に不可欠なのが国内エアライン。たとえば北京空港には「エアチャイナ」の名で知られるナショナルフラッグ・中国国際航空(国航)が拠点を構え、国内と海外を密に結んでいる。特に国航は圧倒的な低価格を武器に、中国を経由して第三国へ飛ぶ海外旅客の乗り継ぎ需要を獲得している。


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