未婚男が割を食う「バツあり男」の再婚事情 初婚女を狙うのは余っている男だけじゃない

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男女とも、断トツの1位が滋賀県でした。ちなみに、滋賀県は離婚数の上昇率でも1位です。だからといって、滋賀県の人たちが「浮気な男女が住む県」だということではありませんが、この36年の間に、滋賀県でいったいどんなことが起きたんでしょうか? 正直、よくわかりません。

滋賀県といえば、真っ先に琵琶湖が思い浮かびますが、それだけではありません。忍者で有名な甲賀があり、現在大河ドラマをやっている井伊家の彦根藩があったところでもあります。その前には、関ヶ原西軍の実質大将石田三成の居城佐和山城があり、織田信長の安土城が建てられ、豊臣秀吉が初めて城持ち大名となった長浜城があったところでもあります。最澄が比叡山延暦寺を開き、天智天皇の時代には大津宮があり、京都・奈良と同等に歴史的価値の高い場所です。

さらに、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしとして知られる近江商人を輩出しています。もしかして、結婚をひとつの経済生活として考えるならば、離婚や再婚もその手段としてドライに割り切れる、という近江商人の血が影響しているんでしょうか。

「離婚=不幸」という考えに縛られてはいけない

離婚と再婚が増えることは悪いことだとは思いません。もちろん、良好なパートナー関係が続くことはいいことですし、離婚をお薦めするつもりもありません。が、「離婚=不幸」という規範に縛られ、やり直しの機会を自ら排除する必要はないと考えます。「『夫婦は一生添うべし』が当然ではない理由」という記事にも書いたように、「夫婦は離婚すべきでない」という規範は、明治期以降のもので、江戸時代まで日本人は離婚再婚を自由に繰り返す人たちだったわけです。人生100年時代と言われている中で、仕事もひとつの会社で勤め上げるという形が常識ではなくなっていきます。結婚に関しても同じことが言えるのではないでしょうか。

ちなみに、滋賀県はシングルマザー世帯率が東京に次いで2番目に低い県であり(2015年国勢調査より)、総務省が今年5月に発表した「統計トピックスNo.101」によれば、人口に占める子どもの割合が高い県の2位も滋賀県です。滋賀県の人たちは、「子どもたちにとってよりよい環境は何か?」を考えたときに、再婚もひとつの前向きな選択肢としてとらえているのかもしれません。

荒川 和久 独身研究家、コラムニスト

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あらかわ かずひさ / Kazuhisa Arakawa

ソロ社会および独身男女の行動や消費を研究する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。著書に『「居場所がない」人たち』(小学館新書)、『知らないとヤバい ソロ社会マーケティングの本質』(ぱる出版)、『「一人で生きる」が当たり前になる社会』(ディスカヴァー携書)(ディスカヴァー携書)、『結婚滅亡』(あさ出版)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)、『超ソロ社会』(PHP新書)、がある。

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