梅田・関空直結「なにわ筋線」、何が決まったか 阪急の接続線は新大阪まで延びる?

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この点について、阪急は「なにわ筋連絡線は十三で乗り換えるという想定」と説明。大阪市も「現在の十三駅の地下に別の駅をつくることになるのではないか」といい、既存の阪急各線との直通は考えられていないようだ。このため、連絡線が整備される場合はJR・南海に合わせた狭軌の路線となるだろう。

阪急は今月発表した長期ビジョンに、十三と新大阪を結ぶ「新大阪連絡線」の整備を盛り込んでいる。同線は阪急が以前から路線免許を保有しており「50年以上あたためている」(阪急)という構想。同社は「なにわ筋連絡線と新大阪連絡線の両方を合わせ、整備に向けた調査検討を国にお願いできないかと考えている」という。なにわ筋連絡線と新大阪連絡線が一体で整備されれば、北梅田―新大阪間にはJRと阪急の2ルートが生まれることになる。

一方、十三と梅田方面を結ぶ路線については別の構想も存在する。大阪市営地下鉄四つ橋線の西梅田駅と十三駅を結ぶ「西梅田・十三連絡線」だ。なにわ筋連絡線が注目を集める中、もはや消えたかのように思える同構想だが、大阪市は「(なにわ筋連絡線の)調査検討では西梅田・十三連絡線との比較検討も行うことになるだろう」と言い、完全に消滅したわけではないようだ。

スタートラインに立ったなにわ筋線

大阪市は今回の発表について「いまどこまで決まっているかを出したもので、まだ固まっていない部分があるのは事実。これをベースに事業計画などを国と協議していくためのスタートライン」だと言い、詳細な調整はこれからとなる。

なにわ筋線は1980年代に計画が浮上しつつも、建設費の点などから長年構想段階にとどまっていた一大プロジェクト。関空アクセスの改善はもちろんだが、市内中心部を南北に貫いて新大阪から梅田、難波を直結するだけに、通勤・通学などの需要も見込まれる路線だ。

だが、梅田―関西空港間の所要時間短縮など、関空アクセス改善についての情報は過去にも公表されているものの、市内の移動や沿線の利便性向上について触れられることは少ないようだ。北梅田、中之島と再開発が進展するエリアを通る路線だけに、今後は通勤・通学など空港アクセス以外の利用者に向けた施策の検討も望まれる。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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