自民vs小池新党、都議選が荒れ狂う根本理由 「自民第1党」「小池与党過半数」で痛み分けも

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連休明けに東京五輪の都外仮設費問題で首相官邸や関係知事によって「小池包囲網」がつくられ、「都の全額負担」表明を余儀なくされたあたりから流れが変わった。豊洲移転問題での決断先延ばしへの都民の不満、不安の拡大などもあって、ピーク時には80%を超えた小池知事の支持率も、世論調査で軒並み60%台まで下降している。

都議選告示前1カ月に合わせて読売新聞が実施した世論調査によると政党別の投票先では自民党(25%)がトップで、2位の小池新党「都民ファーストの会」(22%)を上回った。小池新党は各選挙区で公明党(6%)と選挙協力するため、「小池・公明」の合計では自民党を超えるが、「選挙は足し算ではない」(公明選対)だけに小池氏も「心穏やかではない」(周辺)とされる。

逆に一時は「小池旋風の勢いに茫然自失」(自民幹部)だった自民都連も「小池劇場の熱狂はもう終わった」(自民都連幹部)と自信を取り戻し、党本部も巻き込んだ過去に例のない挙党体制で、徹底した組織戦を展開する構えだ。

相変わらず舌禍事件が目立つ自民党

こうした自民の反転攻勢に小池氏も応戦した。国会での「共謀罪」法案をめぐる与野党攻防がヤマ場を迎えた週末の5月20日、初めて「都民ファーストの会」の立候補予定者とともに街頭演説した小池氏は、国会での野党の追及が続く「森友学園・加計学園疑惑」になぞらえるように「忖度(そんたく)政治、これこそ自民党都連そのものだ」などと自民都連攻撃のボルテージを上げた。アベノミクスの目玉に「女性活躍推進」を掲げている安倍晋三政権についても「急に言い出したけど、本質を理解していないから形だけ」と厳しく批判した。

さらに小池氏は週明けの22日には記者団とのやりとりで、自民党の大西英男衆院議員(東京16区選出、都連副会長、細田派)が受動喫煙規制に絡んで、がん患者について「働かなければいい」と発言した問題を持ち出し「自民党都連の代表者らしい。そのような会話はしょっちゅう(自民都連で)飛んでいる」と自民党の体質批判も展開。大西氏は謝罪したが、自民執行部は23日に「都議選への悪影響」を懸念して都連副会長も辞任させた。

同日夜の自民党細田派パーティでは同派幹部の下村博文幹事長代行が都連会長として「都議選勝利」に檄を飛ばしたが壇上の同派東京選出議員団の中に大西氏の姿はなく、下村氏の「都議選での発言には気を付けよう」とのジョークにも会場内には失笑が広がった。

同じ23日には「都民ファーストの会」の都議選公約を小池氏が発表した。「忖度だらけの古い都議会を新しく」「自分ファーストの議員から都民ファーストの議員へ」などの小池流のキャッチフレーズが並ぶが、最重要テーマの豊洲移転については「総合的に判断して結論を出す」と方針明示を避けた。

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