米国経済は9月以降に波乱も 景気・経済観測(米国)

拡大
縮小

また、企業の設備投資も上向きつつある。4~6月期の実質設備投資は前期比年率プラス4.6%(1~3月期は同マイナス4.6%)と、2四半期ぶりのプラスとなった。内訳を見ると、建設投資の大幅な落ち込みに歯止めがかかったこともさることながら、IT関連を中心に設備機器投資の増勢が拡大したことが寄与している。

設備投資については、先行指標となるコア資本財(国防・航空機を除く資本財)の受注が4カ月連続で拡大しており、回復基調は当面続くとみられる。これまで先延ばしにされてきた更新投資の実施に加え、能力増強に向けた設備投資が徐々にではあるが出始めているようだ。

懸念された金融市場の混乱も一服

このように、実体経済の回復が進みつつある中で、懸念材料となったのが5月中旬以降にみられた金融市場の動揺である。

5月22日の議会証言や6月19日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の記者会見で、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長が量的緩和の縮小に関して予想外のタカ派発言を行ったことで、金融市場は大きな混乱に陥った。

S&P500株価指数は、5月中旬からの約1カ月間でおよそ6%低下。また、超低金利政策の解除時期が早まるとの見方が台頭したことから、5月初に1.6%台だった10年物国債利回りは6月中旬にかけて2.6%前後まで急上昇した。このような金融面の変調を受け、市場では実体経済に悪影響が及ぶのではないかとの懸念が広がったのは周知のとおりである。

しかし、そうした懸念とは裏腹に、足元の金融市場は落ち着きを取り戻している。危惧された実体経済に対する悪影響も、おおむね限定的なものにとどまりそうだ。

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