「異色すぎるNHK経済番組」は、こう生まれた 大反響!「欲望の資本主義」発想の原点

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時代の様相が変化するときこそ、根源的な問いが要請される(撮影:今井康一)
やめられない、止まらない、欲望が欲望を生む世界。
わたしたちはいつからこんな社会を生きているんだろう――。そんな問題意識から、気鋭の若手経済学者・安田洋祐大阪大学准教授が世界のトップランナーとの対話を通じて、資本主義の本質に迫った番組が、NHK「欲望の資本主義」だ。
番組はカルト的な人気で話題を呼び、番組の未放送インタビューも多数収録した書籍『欲望の資本主義』も刊行された。
この異色の経済教養ドキュメントのプロデューサーは、「英語でしゃべらナイト」「爆問学問」をはじめ、柔らかな演出で、経済、仕事を解きほぐす異色エンタメ「ソクラテスの人事」「仕事ハッケン伝」など、多数のヒット番組を手掛けてきた丸山俊一氏。記憶に残る異色の番組を次々と生み出せるのはなぜなのか? 番組作りの核となる発想の原点を紹介する。

“越境”型番組「英語でしゃべらナイト」

『欲望の資本主義』の関連番組「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」経済のジレンマ大研究@阪大・安田ゼミはNHKのEテレで5月27日(土)24:25~25:25に放送予定(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

放送後大反響を呼び、書籍化された「欲望の資本主義~ルールが変わる時~」。

世界の経済界の最前線を走る経済学者、アナリスト、投資家らに、「資本主義とは?」「利子とは?」「欲望とは?」と根源的な問いを投げかけ、その答えをきっかけに時代の背後にあった「欲望のルール」をあぶり出そうという試みは、まさに時代の潜在的な欲望に応えることとなり、大きな好評を得た。

番組制作の現場で格闘すること30年。実はこの間、問題意識の持ち方はまったく変わっていないのかもしれない。

今も続く「探検バクモン」という番組の原点は「爆笑問題×東大 東大の教養」という企画にあった。「教養とは何か?」とさまざまな専門の先生方に太田光さんが凸凹問答を仕掛けることで、その学問のあり方を笑いのうちに相対化する。ひとつの論理に閉じることなく相対化し、対話を生む「越境」の精神だ。

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