「起業が目的」で大企業に入る若い人の本音 日本の起業の現場は、こう変わってきた

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取材した若手の就業機会支援をしている経営者は、学生時代から20代で起業することを決意。起業で成功するために必要な人脈をつくれる会社をと、外資系証券会社に入社。さらに同世代で異業種交流会を立ち上げ、金融機関以外でのビジネスパートナー探しを用意周到に行ったとのこと。しかも、

「大企業の経験があれば、起業で失敗しても、サラリーマンに戻ることができますから」

とコメント。20代ゆえに失敗したときのやり直しとして、転職も視野に入っているようです。若くして起業するのはリスクも逆に低くて、潰しも利くとさえ計算しているのかもしれません。

「社会に役に立ちたい」という意識を持つ人が多い

そして2つ目は起業した理由です。《社会に役に立ちたい》という貢献意識を理由に語る人が大半です。起業を目指す動機が「格好いい」「あこがれ」ということから、社会や人の「役に立つ」という高度なレベルに上がっているのです。

大企業勤務から起業を目指すというのも「早く×社会への貢献」を踏まえての“真・意識高い系”の人というようにも思えます。最近は意識高いということがネガティブな表現として定着しつつありますが、今回はポジティブな意味で使っています。

とはいえ、そんな、真・意識高い系の若手社員は同世代の社員で少数派です。筆者の周辺だけみれば、若い起業家がやや増えているようにも感じますが、全体の実情は違っていて、少数精鋭で存在しているにすぎないのです。

確かに、若手社員で社会貢献に高い関心をもっている人が増えたと言われますが、まだ全体の数%くらい。大多数の社員は社会貢献よりも自分の趣味やスキルアップに関心があります。また大多数の若手社員からすれば起業するキャリアなど考えられないくらいに遠い存在でしょう。

大企業から起業家になるキャリアを選ぶ若手社員の質は変わっても、量的には変わらないのが実情なのです。確かに、起業する年齢を調べてみると30~40代が中心であり、20代で起業する比率は過去から増えていません

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