「ラルフローレン」が米旗艦店を閉店した事情

アパレル界の優等生に何があったのか

3つ目の理由は、ECの普及による小売りの環境変化である。アメリカの小売りにおけるEC比率は、日本同様7%前後だが、アパレル、小売業界ではその比率は年々高まってきており、百貨店の2017年1月期のEC化率はニーマンマーカスが29.0%、ノードストロムが22.2%まで伸びてきている。しかし、それと並行するように実店舗の売り上げが落ち込んでおり、不採算店の閉鎖・集約は、アメリカのアパレル企業の共通の課題なのだ。

ラルフローレンは、再生計画の一環として、EC事業の強化を掲げており、その手始めとして従来のシステムからセールスフォース社の「コマース・クラウド」への移行を推進。約1割の不採算店の閉店を進めつつ、より充実したECの環境整備を急ぐ方針だ。

カルバンクラインやゲスは復活傾向

ライバル勢に目を移すと、新しい動きを始めたブランドが目立つ。各ブランドはともに、ラルフローレンよりはるか前に苦境に陥っているからこそ、大胆で思いきった動きが見られるようになってきているのだ。

その筆頭がカルバンクラインだ。1980〜1990年代にジーンズやトランクスブリーフで一世を風靡した同ブランドは、2017年秋冬シーズンから、チーフクリエーティブオフィサーに世界的なデザイナーのラフ・シモンズ氏を起用。2月にニューヨークで発表したコレクションは好評で、一気にクールなブランドへ返り咲きそうな気配が漂っている。

1990年代に人気を集めたジーンズブランド「ゲス」も、人気ラッパーのエイサップ・ロッキーとのコラボレーションラインを発表。1980〜1990年代テイスト全開のユルい雰囲気は、この時代に生まれたミレニアル世代の感性とピタリと合っている。1990年代のヒップホップシーンで人気だった「ノーティカ」は、19歳の赤髪のラッパー、リル・ヨッティをクリエーティブアドバイザーに起用。異例ともいえる若手の登用だが、こちらも発表されるや否や大きな話題を集めている。

2018年に創業200年を迎えるアメトラの父、ブルックス ブラザーズは、アメリカのスターデザイナーの1人であるトム・ブラウンとの協業ライン「ブラックフリース バイ ブルックス ブラザーズ」を、2015年に休止。ブランドのイメージは大きく向上したものの、ビジネス面での旨味は少なかったようだ。現在は、売り上げの2割を占めるレディースを強化しており、アメリカの若手デザイナー、ザック・ポーゼンを、2016年春夏シーズンからウィメンズのクリエーティブディレクターに起用。こちらはシーズン毎に評価を高めてきている。

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