特別検察官任命で気になるトランプ氏の命運

「ロシア疑惑」捜査の行方

5月17日、「ロシア疑惑」を巡る独立捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・モラー元FBI長官(写真)が任命された。今後の展開を予想した。写真は2013年6月、米議会で撮影(2017年 ロイター/Yuri Gripas)

[ワシントン 17日 ロイター]) - ロシアによる米大統領選に対する介入や、トランプ陣営との癒着の可能性を巡る独立捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・モラー元米連邦捜査局(FBI)長官が任命された。米司法省が17日発表した。

トランプ大統領が、コミーFBI長官を9日に解任したことで、「ロシア疑惑」に関するFBI捜査の今後を危ぶむ声が出ていた。

特別検査官の任命により、今後予想される展開は以下の通り。

●現在のFBI捜査は継続

コミー長官は解任されたが、FBIによる米大統領選へのロシア介入疑惑捜査は終結していない。法律専門家によると、ホワイトハウスが後任の人選を進める間にも、コミー氏が任命したキャリア捜査官が捜査を続ける可能性が高い。

●議会で進められている捜査も継続

上院と下院の情報特別委員会や、その他の委員会で進められている調査も同様に継続する。また議会は、モラー氏が特別検察官に任命された後も、特別委員会を設置したり、議会調査とは別に、(調査を行う)スペシャル・マスターを任命することができると専門家は指摘する。

上院共和党では過去に、特別検察官が任命されれば、議会による調査が邪魔されるとの懸念が指導部からも出ていた。モラー氏には、議会調査の停止を求める権限はない。刑事事件としての捜査が、議会による調査を複雑にする場合はある。だが、法律専門家によると、特別検察官による捜査はその点、現在進行中のFBIの捜査となんら変わらない。

●モラー氏は、司法省で並行して捜査を行う

モラー氏は、関係する証人に事情聴取し、関係書類を召喚し、十分な証拠があれば、FBIと協力して刑事訴追を行う。

●モラー氏は、トランプ政権から相当程度の独立性を確保する

ローゼンスタイン副長官は、司法長官が連邦政府の外から特別検察官(special counsel)を起用することができるという省規定を根拠に、モラー氏に同省によるロシア関連捜査の指揮を執るよう任命した。

ロサンゼルスのロヨラ法科大学院のジャスティン・レビット教授によると、この司法省規定は、1990年代に失効した旧制度の特別検察官(special prosecutor)の任命に関する法律に比べると、根拠としては弱い。

だがレビット氏は、「司法省規定は、特別検察官(special counsel)に非常に強い独立性を与えるよう設計されている。特別検察官の決定を覆すことは可能だが、その場合、議会に報告が行くことになっている」と指摘する。

特別検察官を任命したのがローゼンスタイン副長官だったのは、セッションズ司法長官が、駐米ロシア大使との接触について自身が不正確な証言をしたことを受けて、ロシア関連の捜査には関与しないと宣言していたためだ。

●モラー氏解任は困難

特別検察官を解任する権限を持っているのは、司法長官のみだ。ロシアがらみの今回の捜査では、セッションズ司法長官に代わり、ローゼンスタイン副長官にその権限がある。

レビット氏によると、司法省の規定では、特別検察官を解任できるのは、違法行為や職権乱用、利益相反、職務放棄など、具体的な理由があった場合に限られる。

ローゼンスタイン氏は、コミー前FBI長官と同様、大統領の意向次第で特別な理由がなくてもいつでも解任されうる立場だ。だがレビット氏は、モラー氏の捜査に圧力をかけるためにローゼンスタイン氏を解任することには、大きな政治的代償が伴うと指摘する。

「議会や世論の風当たりが強くなるだけだ」と、レビット氏は述べた。

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