「100円ショップ」の安さだけでない使い方 エリアによって見どころは大きく変わる!

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また、卓上コンロ用のカセットボンベが切れそう、という場合。カセットボンベは大概3本セットでの販売だが、3本が多いと思えば100円ショップで1本売りされている。価格的には割高にはなるが、しばらく使わないものをムダに持ち続けるコストを考えると、そのほうがすっきりするだろう。

「外出先で困ったときには100円ショップへ」の法則

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旅行や出張先で困ったときは100円ショップへ、ということもぜひ覚えておくといい。スマホの充電機器、マスクや絆創膏、靴下にシャツ、お土産を持ち帰るためのクーラーバッグまで、なんでも買える。季節商品も充実しており、これからの時期はビーチ用品やアウトドアグッズが手に入るので、レジャーに行くのにうっかり忘れても焦ることはない。しかも100円なので懐は痛まず、当座をしのげればよいので、困ったときこそ頼りになる存在だ。筆者は旅行先で、ホテルで使うためにサンダルや座布団を買ったこともある。

また最初に、同じ100円ショップでも地域や立地によって品ぞろえが異なると書いたが、こういう特徴もある。東京ドーム近くの100円ショップでは、コンサートに使うサイリウムやアイドル応援用のうちわが売られている。つまみも充実しているから、ビールをお供にドームで野球観戦を楽しむ予定なら、先に立ち寄っておきたいところだ。

外国人観光客が多い上野にある100円ショップでは、彼らが喜びそうな「日本」の漢字が入ったグッズや扇子、すしのサンプルが付いたペンなどを売っているコーナーがあった。外国人に渡したい日本らしいお土産を探しているなら、安く手に入る穴場だと思う。

地方都市に行くと、また様子が変わる。東京都心ではまだ見掛けることは少ないが、介護補助用グッズのコーナーがあったり、ペット用品売り場のボリュームも大きい。庭付き一戸建ての住宅が多い地方だと、ガーデニングやエクステリア関連の商品が充実している。ネズミ捕り用の商品が並んでいる棚を見たときは、まさに環境の違いを実感した。その土地での需要を簡単に俯瞰(ふかん)できる場所としても面白いのではないだろうか。

かつては100円ショップの製品は「安かろう、悪かろう」の代名詞のように思われていたが、それはもう逆ではないかと筆者は思う。100円だからこの程度、では目の肥えた消費者は財布を開いてくれない。モノがあふれている今は、こんなものまで100円で買えるなんて、という驚きを提供しなくては手に取ってももらえない時代に入っている。

だからこそ、各社はいち早くはやりものを取り入れ、シーズンアイテムを先取りし、デザインや素材感にもこだわっている。日本のお家芸のものづくり精神は、ひょっとすると100円ショップが継承しているのかもしれない。

(価格は税別です。取り扱っている商品は店舗、地域により異なります)

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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