一目置かれる人は「未来の記憶」を操っている 部下を動かす「ビジョン」は生み出せる

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こうして作り出していくリアルなビジョンは、そのときに湧き起こる感情を体の奥からより強く感じさせてくれるという、さらなる相乗効果をもたらします。

こういった行動を日々繰り返すことで、未来記憶は徐々に定着していくのです。

リラックスした状態を作り出すことがポイント

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このエモーション化を進めるうえでのポイントは、リラックスした状況で行うこと。前述のとおり、感情と体の動きには関連性があるため、体が緊張して固くなっていると、感情も動かなくなってしまうのです。緊張していると顔もこわばり、笑顔すら出てきませんよね。

自室や風呂の中など、自分が大いにリラックスできる場所や状態で、これらの「ビジョンを強化する」トレーニングをしてみてください。

リラックス状態の中でひとつのことに心を集中させるのは、「瞑想」に近いかもしれませんね。

また、日頃からリラックスを心がけることも重要でしょう。仕事中など、無意識に体が固くなってしまう場面が続く場合がありますが、そんなときにおすすめなのが、「胸を開く」ことです。

やり方は簡単。深呼吸をしながらひじを後ろに引き、胸を前に出せばOKです。胸には私たちの命の中心ともいうべき心臓があります。緊張すると、無意識に胸を守ろうとして、腕組みをしたり肩に力が入ったりしてしまいます。そこを開くことで緊張が解け、リラックスした状態を作り出すことができるでしょう。

以上のことをまとめると、次のようになります。

(1)未来記憶である「ビジョン」を、五感をフル稼働し詳細に思い浮かべる

(2)思い浮かべたビジョンに沿って体を動かし(モーション)、感情(エモーション)を呼び起こす

(3)リラックスした環境をつねに作り出す

さまざまな障害の中でも揺るぎなく、周りの人を引っ張っていくためのリーダーシップを身に付けるために、「未来記憶の強化と定着」トレーニングはとても有効です。

この春、新リーダーとなったあなたも、ぜひ試してみてください。

(構成:山岸美夕紀)

宇都出 雅巳 トレスペクト教育研究所代表・学習コンサルタント

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うつで まさみ / Masami Utsude

速読×記憶術を活用した勉強法の専門家。トレスペクト教育研究所代表。1967年生まれ。東京大学経済学部卒。出版社、コンサルティング会社勤務後、ニューヨーク大学に留学(MBA)。外資系銀行を経て、2002年に独立。30年以上にわたり、速読・記憶術を試験勉強に活用しながら実践研究を続け、独自の勉強法を確立した。多くの受験生を司法試験、医学部受験という難関試験で合格に導きながら、自らもCFP、行政書士、宅建士、50代で公認会計士、システム監査技術者試験などに合格。現在は監査法人に勤務。著書に『速読勉強術』(PHP文庫)、『どんな人でも1番結果が出る勉強法 合格は「あたりまえ化」の法則』(TAC出版)など。

 

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