一目置かれる人は「未来の記憶」を操っている 部下を動かす「ビジョン」は生み出せる

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人を引き付け、動かすことができるリーダーというのは、例外なく「このチームで、必ず○○を成し遂げる」といった「未来に対する強いビジョン」を持っており、それを固く信じています。リーダーシップには“ビジョン”が不可欠だということは、近年のリーダー論の中でもよく言われていることなのでみなさんもご存じでしょう。

この「ビジョン」もつまりは「未来記憶」にあたります。この未来記憶が強ければ強いほど、明確な「ビジョン」を持っているということになります。

しかし、この「未来記憶」が過去の記憶と違う点は、文字どおり「未だ来ていない」物事への記憶であるところ。ですから、それを記憶として定着させるためには、強い想像力が必要です。それがないと、目の前の仕事に追われていたり、ちょっとしたトラブルが起こったりするだけで、ビジョンが揺らいでしまいます。そういうリーダーは、人を引き付け、動かすことはできません。

確固たる「ビジョン」を持った魅力的なリーダーとなるために、未来記憶を強化できる方法があります。

五感をフル稼働して未来をリアルに思い浮かべる

未来という、ある意味、はかないものに対する記憶を強化し、想像力を高めていくために必要なのは、「視覚」「聴覚」「触覚」「味覚」「嗅覚」の「五感」です。

「あの料理のおいしさがいまだに忘れられない」「この音楽を聴くとあのときの情景を思い出す」ということがあるように、過去の記憶は五感により形づくられています。

ですから、「未来記憶」も同じように、まるで本当に起こったことのようなリアルな「五感」をプラスすることで、より強い記憶となるのです。

この強化法を、「ビジョン」を確固たるものにするために活用してみましょう。

まず、自分が目標とする「ビジョン」が定まったら、それをできるだけ詳細に頭の中に思い描きます。五感をフル活用して、自分の描く未来が訪れたそのときに聞こえる声や音、見える景色、体の動き、鼓動などをできるだけ詳細に自らの頭の中にありありと描き出してみましょう。

まだ訪れたことのない場所が関係するなら実際に行ってみて、その風景や音、風の匂いなどを体験する、あるモノが関係するならそれを実際に見て触れてみる、そういったことで自分の中にない記憶を補強することも有効でしょう。

それを繰り返し、詳細な未来をリアルに思い浮かべることができるようになったら、次に加えるのが「感情」です。

次ページまだ起きていないことに対し、感情を大きく動かす方法とは
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