「外資のネスレ」がここ日本で躍進できる理由 ネスカフェアンバサダーがいかに「型破り」か

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ネスレが普通の日本企業以上に日本に根付いている理由を探ります(撮影:尾形 文繁)
「顧客が大事」「顧客視点で考えろ」と口にする経営者は多いものの、実際に冷静に顧客視点で考えると、過去の惰性で企業視点の取り組みを続けている会社は意外に多いのではないでしょうか。
『顧客視点の企業戦略』の著者であり、アジャイルメディア・ネットワークで企業のアンバサダープログラムやソーシャルメディア活用のアドバイスを行う徳力基彦氏は、「ソーシャルメディア時代に成功している企業に共通しているのは顧客視点での取り組みができていること」と指摘します。

 

『レッドブル』、異例成長支える"逆転の発想"」(5月5日配信)に続き、今回はネスレ日本の事例をご紹介しましょう。

ネスレは、スイスに本社を置く創業150年を超える世界最大の食品・飲料会社、という文字どおりのグローバルカンパニー。時価総額は2000億ドルを優に超え、世界の企業の時価総額ランキングのトップ20位に入るほど。2017年4月末時点で、トヨタ自動車よりも時価総額で上位にいて、アサヒグループホールディングスやキリンホールディングスなどの日本の大手飲料メーカーの10倍以上の時価総額と言えばイメージしやすいでしょうか。

そのネスレの日本法人が、ネスレ日本です。一般的に、外資系の食品メーカー、飲料メーカーというと、世界で発売している商品を日本にそのまま輸入して販売するイメージが強いかもしれませんが、ネスレ日本はある意味で日本企業より、日本の顧客の問題に真摯に向き合っています。

ご当地物や新商品好きな日本人向けの取り組み

たとえば象徴的なのが、キットカットでしょう。キットカットはイギリスのヨークにあった菓子会社ロントリーが開発したチョコレート菓子で、1988年にネスレが買収しネスレグループ入りした格好になります。日本でも、1973年から不二家経由で販売されており、多くの人に馴染みのあるお菓子といえるでしょう。

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